「読書ゼロ」小中高生の半数、約10年で1.5倍に ベネッセ・東大調査

2025/10/24 11:30 

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 読書しない小中高生は半数に上り、約10年で1・5倍に増えている――。

 ベネッセ教育総合研究所が東京大と実施した調査で、こんな実態が明らかになった。代わりにスマートフォンの使用時間は大幅に増え、スマホの時間が長いほど読書時間が短い傾向が見られた。

 ◇大きくなるにつれ本離れに?

 調査は、小1から高3の親子約2万組を対象に実施。毎年同じ対象者に質問し、変化を分析する「パネル調査」と呼ばれる手法で2015年以降、毎年7~9月に実施し、集計している。

 27日から「読書週間」が始まるのを前に、ベネッセ教育総研が子どもの読書やスマホ利用の実態などに関する15~24年のデータを分析し、結果を20日に公表した。

 1日に本(電子版を含む)を読む時間を聞いたところ、24年の調査では小1~高3の全体で「読書をしない(0分)」が52・7%で、約半数に上った。15年の調査では34・3%で、1・5倍に増えた。

 学年が上がるとともに、読書をしない割合は高くなった。24年の調査では読書しない割合は▽小1~3で33・6%▽小4~6で47・7%▽中学生で59・8%▽高校生で69・8%――となった。

 1日当たりの読書時間は全体的に減少傾向にあり、特に小4以上で減り幅が大きかった。15年から24年にかけ、小4~6では6・3分減って15・6分に。中学生は5・9分減って14・1分、高校生は4・9分減って10・1分になった。

 一方、1日当たりのスマホの使用時間は15年から大幅に増えている。小4~6で22・4分増えて33・4分▽中学生で51・9分増えて95・7分▽高校生で42・5分増えて138・3分――と、使う時間が長くなっている。

 スマホの使用時間と読書時間の関連を調べると、小4~6と中学生ではスマホを使う時間が長いほど、読書時間が短い傾向があった。

 小3と小6,中3、高3を対象に実施した語彙(ごい)力を測定するテストの結果と、読書時間との関連も調べた。小3と小6、中3では、読書時間が長いほど、語彙力が高い傾向があった。

 調査に関わったベネッセ教育総研の木村治生主席研究員は「デジタル機器は読書時間を侵食する可能性もあれば、それによって知的活動の幅を広げる可能性も持っています。大切なのは、紙かデジタルかを問わず、まとまった文章にじっくり向き合う時間や、新しい世界に触れる機会を意識的に確保することです」とコメントしている。【岡田英】

毎日新聞

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