<eye>日本とインドシナの懸け橋 半世紀 「この国で良かった」
10月中旬の日曜日、民族衣装に身を包んだ元インドシナ難民とその家族たち約150人が手をあわせ、一心不乱にお経を唱えていた。
ここは神奈川県愛川町のラオス文化センター。敬虔(けいけん)な仏教徒の在日ラオス人たちが「心のよりどころになる場所が欲しい」と寄付を募って中古の家屋を購入し、2003年に開設した施設だ。
黄色と赤の派手な建物の庭には黄金の仏塔や巨大な観音像、蛇神の像が並ぶ。広間には仏像が安置され、ラオスから招かれた僧侶3人が生活している。日本各地に住むラオス人が集まって悩みを相談したり、交流に花を咲かせたりしていた。
センター内のキッチンでは女性たちが料理に腕を振るう。テーブルに置かれた大きなボウルの中には色とりどりの具材がぎっしり詰まっていた。
「パパイアやトマトなどの野菜を魚のエキスであえたサラダのタム・マークフンですよ」。ビルンラハ・ピンマチャンさん(67)がひときわ笑顔で説明してくれた。
ビルンラハさんの故郷は首都・ビエンチャンだ。1975年、17歳の時に王制が廃止されて社会主義政権が生まれると生活は一変。進学の自由などが制限されるようになり、旧政権の関係者や新体制に反対する人々は次々に国外へと避難した。
ビルンラハさんは79年12月、21歳の時に仲間たちと亡命を決行した。子供を授かったばかりの体だったが、竹を組んだ小さないかだにつかまり、国境を隔てるメコン川を必死の思いで渡った。
タイの難民キャンプでは狭い長屋での集団生活を余儀なくされたが、無事長男を出産した。「食料は配給制。栄養も粉ミルクも足りない過酷な環境で、乳児の子育ては心配がつきなかった」と振り返る。
約9カ月間のキャンプ生活を経て、80年に日本に到着した。神奈川県大和市に設立された「定住促進センター」に入所し、語学や日本の生活習慣などを3カ月勉強。病院での看護助手の仕事を紹介してもらい生活の基盤をつくることができた。患者との交流を通じて、少しずつ日本語を覚えていった。
来日から45年。現在は司法や行政、教育の分野でラオス人やタイ人をサポートする通訳として活動しながら、在日本ラオス協会の会長も務めている。「祖国を出てたどり着いたのがこの国で良かった。在日2~3世の若い世代が住みやすい社会になるよう日本とインドシナの懸け橋になれたら」と第二の故郷に感謝した。
写真・文 幾島健太郎
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