増田康宏八段、「ツバメ返し」の角打ちで快勝 将棋・A級順位戦

2025/11/08 10:41 

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 第84期名人戦A級順位戦5回戦、増田康宏八段―佐々木勇気八段戦が7日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、増田八段が制して3勝2敗と白星を先行させた。

 先攻された佐々木八段が角交換から勝負手の角を放ったが、角に角で返すツバメ返しのような増田八段の角打ちが勝負を決めた。

 ◇佐々木八段「こんなに必敗とは」

 午前中から時間を使って指し進めていた佐々木八段が34手目に7四歩と突いた局面で、増田八段は45分の長考の末、好機とばかりに3五歩で攻めを仕掛けた。これに対して佐々木八段は角を交換して3四角と設置して強気に応対した。

 しかし、3手後に増田八段が打った5六角が佐々木八段の読みを上回る一手になった。飛車と角を連動させた攻めが厳しく、一気に流れをたぐり寄せた。

 終局後、増田八段は「3五歩と仕掛けたあたりでいけそうだと思った。相掛かりの戦型で先手が一番勝ちやすそうな形で、5六角と打って後手の対応が難しいと思った」と会心の出来を振り返った。

 佐々木八段は「仕掛けられてからは一方的だった。こんなに必敗だとは思わなかった」と完敗を認めた。

 ◇トップを追走、上だけ目指す

 増田八段は2敗を守り、全勝で単独トップの永瀬拓矢九段を2差で追走する。「2差は大きいが、降級(の可能性)がかなりなくなったので、後半戦は伸び伸びと指せる」と上だけを目指す展開に期待を込めた。

 前期挑戦者となった棋王戦でもベスト4に勝ち残っており、連続挑戦も目前に迫っている。「(藤井聡太名人から王座を奪取して)2冠になった伊藤匠叡王もベスト4に残っているので、まだまだ厳しい戦いになる」と増田八段は気を引き締めた。

 佐々木八段が敗れたことで、4戦全勝でトップを走る永瀬九段がいち早く今期残留を決めた。

 A級の星取りは以下の通り(数字は順位)。

 ▽4勝=1永瀬九段

 ▽3勝1敗=6豊島将之九段、9近藤誠也八段、10糸谷哲郎八段

 ▽3勝2敗=5増田八段

 ▽2勝2敗=8千田翔太八段

 ▽1勝3敗=3渡辺明九段、7中村太地八段

 ▽1勝4敗=4佐々木八段

 ▽4敗=2佐藤天彦九段

 本局を詳報する上地隆蔵さん執筆の観戦記は25日から毎日新聞朝刊に掲載される。【丸山進】

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