カスハラ対策法、26年10月施行へ 具体的な対処例も提示 厚労省

2025/11/17 20:50 

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 厚生労働省は17日、企業にカスタマーハラスメント対策を義務付けた改正労働施策総合推進法を来年10月に施行する方針を示した。「個人情報を守った上でやり取りを録音、録画する」など、カスハラへの具体的な対処例を盛り込んだ指針案も提示した。厚労省は労働政策審議会(厚労相の諮問機関)での議論を踏まえて取りまとめる。

 改正労働施策総合推進法は6月に成立した。同法はカスハラを、職場における顧客や取引先、施設利用者などによる言動▽社会通念上許容される範囲を超えるもの▽労働者の就業環境を害するもの――と定義。全企業にカスハラの防止措置を義務付け、国の是正指導や勧告に従わない場合は企業名を公表する。

 厚労省は17日の労政審分科会に示した指針案で、正当な苦情とカスハラの線引きとなる「社会通念上許容される範囲を超える」行為の例を示した。殴るなどの身体的攻撃だけでなく、交流サイト(SNS)へ悪評を投稿するとほのめかして脅す発言や無断撮影など、精神的な攻撃も挙げた。

 さらに企業が講じるべき具体的な措置として、カスハラに毅然(きぜん)と対応し従業員を保護する方針を明確化し周知すること▽相談体制の整備▽犯罪に該当しうる言動は警察へ通報すること――などを規定。カスハラが発生した際の対処例として、可能な限り労働者を一人で対応させないことや、十分説明しても要求が続く場合は退店を求めたり電話を切ったりすることなどを挙げた。

 また厚労省は、就職活動中の学生らへのセクハラ防止策を企業に義務化した改正男女雇用機会均等法についても、来年10月に施行する方針を示した。【塩田彩】

毎日新聞

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