モダンな雰囲気楽しんで 「旧木内別邸」塔屋など初公開 千葉・市川

2025/11/18 17:00 

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 千葉県市川市文化振興財団は、明治・大正時代の政治家、木内重四郎(1866~1925年)が建てた和洋折衷の近代建築「旧木内別邸」のうち、解体後に再建された洋館の2階と塔屋を初めて一般公開する。個人の邸宅で塔屋は珍しく、大正時代のモダンな雰囲気を楽しめる。27日から12月7日まで、入場無料。

 木内は東京帝国大学を卒業後に官僚となり、貴族院議員に転身して京都府知事も務めた。妻は三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の次女で、木内の次女は渋沢栄一の孫で実業家と政治家でもあった民俗学者の渋沢敬三に嫁いだ。

 市文化振興財団によると、旧木内別邸は1912~14年(明治45年~大正3年)に建設された。戦後は使われない期間が長かったが、鹿島建設に権利が渡って社員寮として一時期利用された。さらに別の建設業者に渡って99年に解体されたが、その後に洋館部分だけ再建され、2004年に市に寄贈された。

 再建された洋館は、鉄筋コンクリート・一部木造の2階建てで、柱などに建築当初の部材が使われている。2階部分から階段を上って塔屋に入ることができる。

 現在、1階は「木内ギャラリー」として貸し出され、展覧会などの会場として利用されている。2階と塔屋は控室や物置として使われているが、見学を希望する声があったという。

 担当学芸員の鈴木颯良さんは「木内は無類の建築好きで、当時は塔屋から江戸川を望むことができ、そこで宴会を開いていました。この機会にぜひ旧木内別邸の魅力を知ってほしいです」と話している。

 30日と12月7日には塔屋の屋上部分の見学会、12月6日には1級建築士の渡辺義孝さんが千葉の近代建築を語る芸術講座を開く。いずれも事前申込制で、市文化会館(047・379・5111)へ申し込む。【石塚孝志】

毎日新聞

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