警察署や官庁装った詐欺電話、197万件 通信会社の設定ミス悪用され

2025/11/21 17:06 

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 警察庁は21日、国内の通信会社が提供したIP電話の1回線から2~3月に、発信元を警察署や官庁と装った特殊詐欺の電話が197万件発信されたと発表した。通信会社の設定ミスが原因で、詐欺グループに悪用されたとみられる。警察庁と総務省は21日、通信会社に、来年1月までの再発防止策の報告を求めた。

 警察庁によると、通信会社は東証プライム上場「アイ・ピー・エス」の子会社「アイ・ピー・エス・プロ」(東京都)。2月8日~3月14日、この通信会社が海外の事業者に販売していたIP電話の1回線から、発信者番号が偽装された電話が197万件あった。

 うち11万件は番号の末尾が警察署で使われる「0110」だった。他には警視庁や総務省の代表、最高検などの番号もあった。この回線が悪用された特殊詐欺の被害は少なくとも11件で約2800万円に及ぶ。

 警視庁の捜査で通信会社が販売した番号が悪用されたことが判明。回線は海外の事業者から詐欺グループに転売されたとみられる。

 通信会社が販売したのは「050」で始まる回線だが、IP電話は、表示される発信者番号を利用者が変更できる。業界団体のガイドラインでは、発信者を誤認させる番号に変更された場合は、電話を受ける相手に非通知が表示されるなどの対策を求めている。

 警察庁は4月に同社への聞き取りをし、設定ミスが発覚した。設定の修正後は警察署を装う電話は確認されていないという。【深津誠、長屋美乃里】

毎日新聞

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