立花孝志容疑者を異例の起訴 死者への名誉毀損罪 公判の先例なし

2025/11/28 18:21 

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 死亡した元兵庫県議を中傷したとして、神戸地検は28日、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)を名誉毀損(きそん)の罪で起訴した。元県議が亡くなった後に繰り返したとされる立花被告の発言も、地検は中傷に当たると判断した。

 死者に対する名誉毀損が起訴されるのは異例。被告の刑事責任は正式裁判で審理されることになった。

 亡くなった元県議は竹内英明さん(当時50歳)。斎藤元彦知事のパワーハラスメント疑惑などを調べる「県議会調査特別委員会(百条委)」の委員を務めていた。斎藤氏が再選された出直し知事選(昨年11月17日投開票)後、議員辞職した。

 起訴状などによると、立花被告は昨年12月、自身が立候補した大阪府泉大津市長選の街頭演説で「何も言わずに去っていった竹内議員は、めっちゃやばいね。警察の取り調べを受けているのは多分間違いないと」などと発言し、竹内さんの名誉を傷つけたとされる。

 竹内さんは今年1月18日、自宅で死亡しているのが見つかった。遺族側は、被告の発信後に交流サイト(SNS)などで匿名の批判的な投稿が相次ぎ、精神的に追い込まれて自殺したとしている。

 地検は被告が竹内さんの死亡後にした発言も、起訴内容に含めた。今年1月19、20日、自身のSNSなどで「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」「竹内元県議は、どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと虚偽の発信をしたとしている。地検は被告の認否を明らかにしていない。

 最高裁によると記録が残る1978年以降、死後の人に対する名誉毀損を巡って公判が開かれた例はない。

 立花被告は斎藤氏のパワハラ疑惑などを追及した一部の県議らを激しく批判してきた。斎藤氏が再選された出直し知事選では、自身の当選を目指さずに斎藤氏を支援する「2馬力選挙」を展開。竹内さんが疑惑告発の文書作成に関わった「黒幕」などと非難していた。

 竹内さんが任意の事情聴取を受けて逮捕される予定だったという被告の発信内容は、県警が全面否定している。

 一方、斎藤氏は立花被告の起訴について「個別の事案に関してのコメントは控えたい」と述べた。【木山友里亜、柴山雄太、前田優菜】

毎日新聞

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