ウクライナ、イエルマーク大統領府長官の事務所など捜索 汚職疑惑で

2025/11/28 17:36 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ウクライナのエネルギー部門の汚職疑惑に絡み、ウクライナ国家汚職対策局(NABU)は28日、イエルマーク大統領府長官の事務所や家を捜索した。イエルマーク氏はゼレンスキー大統領の「右腕」とされる。汚職への関与が明らかになれば政権への痛手となる。

 イエルマーク氏は28日、交流サイト(SNS)で家宅捜索を受けたことを認めた。「捜査には何の障害もない」と述べ、全面的な協力を表明した。捜索には弁護士が同席したという。

 ウクライナメディアによると、イエルマーク氏は、汚職に関与したグループが不正に得た資金で建てたキーウ近郊の高級住宅のうち、一つを提供されたとみられる。

 また、イエルマーク氏は、7月、ウクライナ政府が汚職対策局などへの政府の介入を強める法律を作ろうとした際、主導的な役割を果たしたとも報じられている。市民からの激しい抗議を受け、独立性を回復する新たな法律が作られた。

 ウクライナは現在、ロシアとの新たな和平計画案を米国と策定中だが、イエルマーク氏は交渉で中心的な役割を果たしている。汚職疑惑は交渉の行方にも不利な影響を与える可能性がある。

 汚職疑惑は、国営原子力企業「エネルゴアトム」の契約を不正に操作し、エネルギー省の関係者らが利益を得たとされる。これまでにゼレンスキー氏のコメディアン時代のビジネスパートナーも捜査を受けた。ゼレンスキー氏に近い人物が立て続けに関与を疑われ、政権への信頼感が揺らいでいる。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

国際

国際一覧>