国宝・松江城に瓦割れ、雨漏り…「令和の大修理」へ 27~29年度

2025/12/08 11:30 

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 松江市は国宝・松江城天守の修理を2027年度から3年間かけて実施すると発表した。「昭和の大修理」(1950~55年)から70年がたち、屋根瓦や壁板などの複数箇所が損傷し、雨漏りもしているため。「令和の大修理」の総工費は14億5000万円を見込む。

 市によると、松江城天守は1611年に完成し、近代では「明治の大修理」(1894年)で外観の維持修理をした。昭和の大修理では6年間かけて解体修理し、2015年に国宝に指定された。令和の大修理では劣化が目立つ外観の維持修理にとどめ、30年後に再び維持修理を行い、60年後に解体修理をする計画だ。

 今回の大修理に先立って損傷状況を調査したところ、1階の軒丸瓦の文様部分がはがれ落ち、屋根瓦が割れていた。城内から敵を矢や鉄砲で迎撃する穴のふたも脱落したほか、内部では雨漏り跡が確認された。調査終了後、雨が横風で降り込む屋根の隙間(すきま)を塞ぐなどの修理方針を立て、26年度に実施設計を行う。27年度からの修理期間中も可能な限り一般公開を継続し、修理現場の見学会も企画する方針。

 工事費は国や島根県の補助金を見込むほか、松江城施設整備基金の新設と登閣料の値上げを開会中の市議会に提案している。新基金には既存の「歴史まちづくり基金」から約2億200万円を積み替えるほか、来城者の募金や企業版ふるさと納税、団体・個人の寄付金も繰り入れ、目標額は6億円。

 登閣料は来年7月から、大人は市民以外は800円から1200円に、市民は400円から600円に改定。小中学生は現行で市民以外は400円、市民は200円だが、改定で両方とも無料にする。

 上定昭仁市長は「次の世代に受け継いでいくために今回の修理は必要。ご理解を頂きたい」と話している。【村瀬達男】

毎日新聞

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