閉館予定の「大阪松竹座」存続を 歌舞伎ファンら署名活動実施へ
来年5月の閉館を予定している大阪松竹座(大阪市中央区)について、関西の歌舞伎ファンらで作る「関西・歌舞伎を愛する会」が18日、大阪市内で記者会見を開き、劇場存続を求める署名活動を行うと発表した。
大阪松竹座は、1923年開場。江戸時代から芝居町として栄えた大阪・道頓堀の「最後の大劇場」として伝統の灯を守ってきたが、設備の老朽化などを理由に閉館が決まった。運営する松竹は、今後の建物の利用について未定としている。
「愛する会」は78年、公演数が激減していた関西の歌舞伎界を盛り上げようと、歌舞伎俳優の澤村藤十郎さんらの呼びかけで「関西で歌舞伎を育てる会」として結成された。作家の故・小松左京さんが初代代表世話人を務め、労働組合や経済団体、行政、文化人ら幅広い支援を得て、翌79年に実現させた公演が現在も続く「七月大歌舞伎」の原点になった。その際に55年ぶりに復活した歌舞伎俳優の「船乗り込み」は、道頓堀の夏の風物詩として定着している。
署名では、道頓堀を「江戸時代に多彩な芸能が華開いた歴史ある地」とし、大阪松竹座の閉館は「芝居町の灯が消える」「日本の伝統芸能の命運にかかわる重大な局面」と強調。松竹、文化庁、大阪府・市などに対し、道頓堀における劇場の存続を要望している。
代表世話人の川島靖男さん(81)は会見で「『育てる会』として始まり、ここまで続いてきた。歴史ある七月大歌舞伎や、それ以外の出し物が若い人たちに引き継がれて続いていく。そのためにご協力をお願いしたい」と訴えた。【関雄輔】
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