首都直下は3枚のプレート重なる「地震の巣」 過去にM7級頻発

2025/12/19 11:09 

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 4000万人を超す市民の生活の場であり、政治の中枢機能やグローバル経済の拠点も集まる日本の首都圏。その地下深くに目を向ければ、陸と海のプレート(岩板)が複雑に重なり合う「地震の巣」でもある。

 マグニチュード(M)7級の大地震が首都圏を襲った時、どこでどんな被害が起きうるのか。中央防災会議の作業部会が19日に公表した新たな被害想定の報告書は、「国難」を防ぐ日々の備えと意識向上の必要性を突きつける。

 ◇発生場所の特定困難

 中央防災会議の作業部会は、首都直下で起こりうるマグニチュード(M)7級の地震計19パターンを評価した。被害想定を見積もったのは、そのうち最も大きな影響が見込まれる都心南部直下を震源とする地震だ。

 ただし、この地域の地下は、陸と海の計3枚のプレートが重なる複雑な構造をしており、過去たびたびM7級の地震を起こしてきた「地震の巣」。実際の発生場所を正確に特定するのは困難で、想定した通りに被害が広がるというよりは、目安となる一つのシナリオに過ぎないと受け止める必要がある。

 首都圏の地下では、陸のプレートの下に南からフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に東から太平洋プレートが沈み込む3層構造になっている。

 今回被害を想定した都心南部直下地震は、フィリピン海プレートの内部で地震が発生するパターンだ。だが実際には、多様なメカニズムの地震が起こりうる。

 一帯にはM7・9程度が想定される深谷断層帯や、M7・5程度が想定される綾瀬川断層などの活断層が存在する。また、地震の規模がM6~7程度と比較的小さくても、震源が浅ければ直上に甚大な被害が出る恐れがある。1931年に埼玉県北部でM6・9、87年には千葉県東方沖でM6・7の地震が起きている。

 さらに、過去にM8級を起こしたプレート境界の地震も、当面発生する確率は低いとされるものの無視するわけにいかない。首都直下で起きたM8級地震には、1703年の元禄関東地震と1923年の関東大震災がある。いずれも相模トラフで発生したプレート境界型の地震だ。

 政府の地震調査委員会は2025年1月時点で、南関東で30年以内にM7級の地震が発生する確率を「70%程度」と推計している。【高橋由衣】

毎日新聞

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