首都直下でM7級地震、弱いエリアはどこ 地図でみる都県別の様相

2025/12/19 11:09 

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 4000万人を超す市民の生活の場であり、政治の中枢機能やグローバル経済の拠点も集まる日本の首都圏。その地下深くに目を向ければ、陸と海のプレート(岩板)が複雑に重なり合う「地震の巣」でもある。

 マグニチュード(M)7級の大地震が首都圏を襲った時、どこでどんな被害が起きうるのか。中央防災会議の作業部会が19日に公表した新たな被害想定の報告書は、「国難」を防ぐ日々の備えと意識向上の必要性を突きつける。

 ◇全壊・焼失最大40万2000棟

 M7級の首都直下地震で首都圏に最大の被害が見込まれるのは、やや強めの風(毎秒8メートル)が吹く冬の夕方(午後6時ごろ)、東京湾付近を震源とする都心南部直下地震(M7・3)が発生したケースだ。

 報告書によると、全壊・焼失棟数は1都7県で計40万2000棟に及ぶ。地震の揺れで11万2000棟が全壊、火災で26万8000棟が失われるという。

 東京都と、神奈川▽埼玉▽千葉――の3県の被害想定は次の通りだ。

 ◇東京都

 7万棟が揺れで全壊、10万1000棟が火災で焼失する恐れがある。その大半が23区内に集中する。都心の官庁街やビジネスエリアの機能維持に関心が集まるが、商業地や住宅地が広がる新宿区や中野区、杉並区、世田谷区などの他、足立区や臨海部でも家屋などの被害が深刻化し、首都の復旧を遅らせそうだ。死者数は、都全体で最大8000人(建物倒壊などで3600人、火災で最大4200人)を見込む。

 ◇神奈川県

 建物被害のうち、火災の影響が他都県に比べて大きくなりそうだ。想定される全壊・焼失11万3000棟のうち焼失が9万棟。死者数も、想定される最大5200人のうち建物倒壊などが800人に対し、火災で最大4200人と推計する。川崎市から横浜市にかけての人口密度の高いエリアでは、防火対策の徹底が減災のカギとなりそうだ。

 ◇埼玉県

 1万5000棟が揺れで、5万3000棟が火災で、4000棟が液状化現象で全壊・焼失する見込み。さいたま市や越谷市などで大きな被害が見込まれる他、液状化が発生しやすい東部地域でも建物被害が頻発しそうだ。推計死者数は火災で最大2500人、建物倒壊などで600人。報告書は古い木造住宅密集地の解消の遅れを指摘している。

 ◇千葉県

 全壊・焼失見込みの計3万8000棟のうち、液状化が6500棟と割合が大きいのが特徴だ。浦安市などの臨海エリアには高層マンションも多く、地震発生直後だけでなく、その後の復旧も課題となりそうだ。死者数は最大1500人(建物倒壊などで300人、火災で最大1100人)を想定する。【阿部周一】

毎日新聞

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