米、ICC判事2人を制裁対象に追加 イスラエルへの捜査巡り圧力

2025/12/19 09:58 

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 米国務省は18日、国際刑事裁判所(ICC、赤根智子所長)の判事2人を新たに制裁対象に指定した。ジョージア(グルジア)とモンゴル出身の判事2人。トランプ政権は、ICCによるパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘に関する捜査などに反発し、ICCに圧力をかけている。新たな制裁も圧力強化の一環だ。

 制裁の具体的内容は公表されていないが、米国内の資産凍結や米国への渡航禁止などが含まれる可能性がある。

 ルビオ国務長官は声明で、判事2人について「イスラエルの同意なしにイスラエル国民を捜査、逮捕、拘束、または起訴しようとするICCの活動に直接関与している」などと指摘。「ICCはイスラエルを標的に政治的意図に基づいた行動を続けている。ICCによる権力の乱用を容認しない」などと主張した。

 ICCは2024年11月、ガザ地区での戦闘を巡り、戦争犯罪などに関与した疑いがあるとしてイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出した。これに対し、イスラエルの後ろ盾であるトランプ政権は25年2月、米国やイスラエルが加盟していないICCが「正当な根拠もなく管轄権を主張している」などと批判し、ICCの職員らに対する制裁を可能にする大統領令に署名。ICCによると、これまでに検察官や判事ら9人が制裁対象に指定されてきたという。

 新たな制裁について、ICCは「制裁は公正な司法機関の独立性に対するあからさまな攻撃だ。司法関係者が法の執行を理由に脅迫されるなら、国際的な法秩序そのものが危険にさらされる」と批判する声明を出した。

 ロイター通信によると、今回の制裁とは別に、トランプ政権はICCに対し、トランプ大統領や政権幹部が捜査対象にはならないことを確実にするため、ICC設立条約である「ローマ規定」を修正するよう水面下で求めているという。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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