国連難民機関トップにイラク前大統領就任へ クルド出身の元難民

2025/12/19 12:15 

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 国連総会(193カ国)は18日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の次期トップにイラクのサレハ前大統領を選出した。紛争や迫害で家や故郷を追われた難民・避難民が増え続ける中、深刻な予算不足に直面する組織のかじ取りを担う。任期は2026年1月から5年。

 サレハ氏はイラク北部のクルド人自治区出身で、フセイン政権の迫害から逃れて英国で高等教育を受けた。18~22年にイラク大統領を務めた。総会の選出を受けた声明で「元難民として、保護と機会が人生の軌道を変えることを身をもって知っている」と言及。費用対効果の強化に注力するとして組織改革に向けた意欲を強調した。

 UNHCRは「米国第一」を掲げるトランプ政権による対外援助の大幅削減の影響で3割近い予算減に直面し、25年に入って5000人近い職員の雇用を打ち切った。一方、今年半ば時点での世界の難民・避難民は1億1700万人以上と過去最多レベルでの危機が続く。

 現職のグランディ難民高等弁務官は16年から2期務め、ロシアの侵攻に伴うウクライナ避難民への対応などにあたった。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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