医療的ケア児は推計2万人 介護担う家族「SOS出せる社会に」
たんの吸引や人工呼吸器による管理など、日ごろから医療的なケアが必要な子供は2万人超いると推計されている。子供やその家族を支援する法律が4年前に成立。当事者らは「親がSOSを出せる社会に」と訴えている。
◇4年前には支援法も
医療的ケア児は、新生児医療の進歩に伴って救命できるようになるなど増加傾向にある。こども家庭庁によると、2008年に約1万人だったが、24年にはその2倍になっている。
21年に議員立法でできた医療的ケア児支援法では、ケア児を社会全体で切れ目なく支援できることを理念とした。ケア児のサポートや相談体制の整備などについて、国や自治体の責務としている。
主に介護を担うのは家族だ。その負担軽減にはショートステイ(短期入所)といった施設の利用が考えられるが、スムーズにいかない実態も浮かんでいる。
当事者や支援者らでつくる任意団体「全国医療的ケアライン」(東京)は23年、医療的ケア児を育てる親に調査し、355人から回答があった。ショートステイについては6割以上が「希望通りに利用できない」とし、理由としては施設の受け入れ人数が少ないことなどが多かったという。
◇息抜きできるようなサポートを
ケアライン代表の村尾晴美さん(51)によると、たん吸引であれば、夜間でも10分おきに必要なケア児もいる。家族は睡眠不足の毎日で、短期入所を利用しないと立ちゆかない場合もあるという。
村尾さんは「単に休息を理由とする希望はしにくかったり、施設が利用できる順位が低くなってしまったりする場合もある」と話す。
「本当にしんどい人は声を上げられない」とも指摘。家族が息抜きしたり、今の状況を立ち止まって考えたりすることができるようなサポートが必要だと訴える。【芝村侑美】
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