「菊池事件」再審認めず 熊本地裁、死刑判決の特別法廷は違憲と判断

2026/01/28 15:52 

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 熊本県で起きた殺人事件を巡り、ハンセン病患者とされた男性が隔離先の「特別法廷」で死刑判決を受けて1962年に執行された「菊池事件」の第4次再審請求審で、熊本地裁は28日、やり直しの裁判(再審)を認めない決定を出した。

 中田幹人裁判長は菊池事件の特別法廷は憲法違反と認めたが、「審理手続きに憲法違反ないしその疑いがあるとしても、再審を開始すべきだとは認められない」との判断を示した。弁護側の新証拠についても「確定判決の認定に合理的疑いを生じさせるものではない」と結論付けた。

 男性は熊本県の村の元職員を殺害したとして殺人罪などに問われた。隔離先の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園(けいふうえん)」(同県合志(こうし)市)内に設けられた特別法廷で死刑判決を受け、62年に40歳で執行された。

 特別法廷の設置は厳密な検討が必要だったが、最高裁は48~72年、ハンセン病を理由に95件を機械的に許可。そのうち菊池事件は唯一の死刑事件だった。最高裁は2016年、特別法廷は「合理性を欠く差別的な取り扱いだった」と認めて謝罪。20年には菊池事件を巡る訴訟で熊本地裁が特別法廷を違憲と認定し、翌21年に遺族が再審請求した。

 弁護側は「違憲の特別法廷で裁かれたこと自体が再審開始の理由になり得る」と主張。確定判決で凶器とされた短刀と遺体の傷には矛盾があり、「男性から犯行を告白された」とする親族らの供述も変遷していて信用性に疑義があると訴えた。一方、検察側は「再審制度は事実認定の誤りを是正する制度で、手続きの違憲、違法を是正するものではない」と反論。凶器と傷の形状に矛盾があるとまでは言えず、親族の供述も核心部分は一貫しているなどとし、請求棄却を求めていた。【野呂賢治】

毎日新聞

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