旧警備業法は「違憲」 最高裁が初判断 成年後見利用者の就業を制限
成年後見制度の利用者は警備員として働けないとした旧警備業法の規定は憲法違反だとして、元警備員の男性が国に100万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)は18日、規定は違憲との初判断を示した。最高裁が個別の法令を違憲と判断するのは史上14例目となる。
一方で、規定の改廃を怠った「立法不作為」は認められないとして国の賠償責任は否定した。1審・岐阜地裁(2021年10月)は10万円、2審・名古屋高裁(22年11月)は50万円の賠償を命じていたが、いずれの判決も破棄し、原告側の請求を棄却した。
成年後見は、認知症や障害で判断能力が不十分な人に代わり、財産管理や契約を支援する制度。就業制限規定は前身の制度下の1982年に設けられたが、人権侵害との批判を受け、19年の法改正で警備業法だけでなく国家公務員法や弁護士法など約180の法律から一括で削除されている。
原告の岐阜県在住の30代男性は警備会社で工事現場や駐車場の交通誘導に従事していたが、軽度の知的障害があり、17年3月に保佐人を付けた。その後、会社から雇用契約の終了を告げられ、18年1月に提訴した。
男性側は就労制限規定が設けられる過程で「必要な根拠が当時の国会で議論された形跡はなく、合理性がない」と主張。規定は職業選択の自由を定めた憲法22条と法の下の平等を定めた14条に反し、放置し続けた国は賠償責任を負うとした。
これに対して国側は、人の生命や財産を守る警備業務を適正に実施するため、認知・判断能力の低下を公的に認められた人の就労を制限することには合理性があったと反論。いかなる時点でも違憲性が明白ではなく、国会の立法不作為は認められないと主張していた。【三上健太郎】
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