「障害問わずに就労支援」で経済効果460億円 日本財団試算
発達障害のグレーゾーンやひきこもりなど、働きづらさを抱える全ての人が障害者向けの公的な就労支援を利用できるようにした場合、約460億円の経済効果が生まれるという試算を日本財団が出した。支援にかかる経費は税収増などでカバーできるという。
2022年に開始し、現在岐阜市、福岡県など全国計6県市で実施するモデル事業の結果を基に算出した。
障害の診断のある人らが利用できる公的な障害福祉サービスの一つ「就労移行支援」は「最も手厚い就労支援」(日本財団の担当者)として知られる。就職準備のため通所による訓練を提供し、得意や不得意に応じた就職活動、就職後の職場定着まで一貫してサポートする。
しかし診断を受けることに抵抗がある人や、発達障害のグレーゾーン、ひきこもり経験のある人らは、支援からこぼれ落ちることがあった。
障害の有無を問わず、多様な困難を持つ人たちが働ける「ワーク・ダイバーシティ」という考え方を掲げたモデル事業では、日本財団と自治体が支援経費を負担。就労移行支援などを、障害がなくても利用できるようにした。26年1月までに計396人への支援が終了し、このうち62%にあたる246人が一般企業や就労継続支援事業所で働いている。
実績を基に、全国で支援を展開した場合について日本財団が試算した。1万5000人を支援し、就職率が55%、平均年収139万円で3年働いたと想定すると、国内総生産(GDP)が約460億円増加することが分かった。
支援経費に170億円かかる見込みだが、働き手が増えることで税収などが160億円増え、さらに生活保護費などの福祉関係費を削減できる財政効果もあり、利点が上回った。
過去の日本財団の調査では、障害や難病、ひきこもり、刑務所出所などのさまざまな理由によって「働きづらさ」を抱える人は全国で推計1500万人に上る。そのうち、現在は働いておらず適切な支援や環境整備があれば働ける人は270万人いるとみられる。
日本財団公益事業部の竹村利道シニアオフィサーは「モデル事業で、障害者の就労支援の仕組みが多様な就労困難者にも生かせることが分かった。国益に資した上で国民の幸福度も上がる。『フォーマルな支援』として国に取り組んでほしい」と提言する。【黒田阿紗子】
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