環境省、小笠原諸島への外来種侵入の実態調査へ 規制可否を判断
世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)に持ち込まれる外来種について、環境省は今年度、侵入実態の調査に乗り出す。独自に進化を遂げた固有の生態系を保護するため、建築資材や農業用の土などに紛れて入り込む外来種の量やルートを明らかにし、規制の必要性と効果を判断する。
東京都心から約1000キロ離れた太平洋上にあり、過去に大陸と地続きになったことのない小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」と称される。ここにしかいない生物種の多さが世界的に評価され、2011年6月に世界自然遺産への登録が決定。24日で15年になる。
ところが、固有の動植物を脅かす外来種の侵入・拡散は深刻化している。小笠原固有種のチョウ「オガサワラシジミ」は外来種のトカゲに捕食されるなどして、世界遺産登録後に絶滅した可能性が高い。
環境省などによると、外来種はペットや園芸植物として持ち込まれるほか、種や卵が来島者の靴底に付着したり、土木工事などに用いる土砂や資機材に紛れたりして入り込んでいるという。
都港湾局によると、父島と母島の二つの港には24年、木材製品554トン、砂利2万1304トンが搬入された。実態調査ではこうした資材や種苗、肥料などを対象に、搬入ルートと輸送量から外来種侵入の全体像を把握する。また、すでに確認されている外来種の発見場所や周辺状況、予想される侵入経路や要因も調べる。
環境省は調査を踏まえ、規制の可否を検討する。ニュージーランドや米ハワイには外来種侵入を防ぐ検疫制度など厳格な物流規制がある。小笠原諸島で導入されれば国内初となる。同省担当者は「強制力のある規制が必要か判断する上で侵入リスクの高い部分を把握する必要がある」と話す。
国内の専門家でつくる小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会の吉田正人・筑波大名誉教授(世界遺産学)は「物流が発達し、この20年ほどで外来種流入のリスクが格段に上がった。実態を把握し対策を取らなければ、小笠原諸島の価値を大きく損ないかねない」と語る。【高橋由衣、荒木涼子】
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