東南アジア拠点の詐欺、被害18兆円超 国境越え「犯罪経済圏」に

2026/07/21 20:50 

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 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は21日、アジア太平洋地域で2025年に発生した詐欺の被害額が最大で1141億ドル(約18兆6000億円)に上るとの推計を公表した。東南アジアを主要拠点とする国際犯罪組織がデジタル技術を駆使して手口を巧妙化させ、国境を越えて活動を広げていると分析している。

 対象地域は東アジア、東南アジア、オーストラリア、ニュージーランド。最低の推計額(約14兆4000億円)でも、域内の複数の国の国内総生産(GDP)を上回る規模で、被害の約7割は東アジアに集中している。報告書に掲載された各国・地域当局の直近の公表額で、日本(約3200億円)は中国、韓国、台湾に次いで4番目に被害が多かった。

 報告書は、これまで地域や犯罪分野ごとに活動していた組織が、共通のサービス網を利用して複数の違法市場に進出し、国境を越えた「犯罪経済圏」を形成していると分析。UNODC東南アジア・太平洋地域代表のデルフィーヌ・シャンツ氏は「運営形態は企業のフランチャイズに似ている。資金洗浄や人身取引、密入国の手配、データ収集などが分業され、一つのネットワークで結ばれている」と説明した。

 ◇好条件の求人装い…

 犯罪経済圏の中核の一つが、東南アジア各地のオンライン詐欺拠点だ。犯罪組織は好条件の求人を装い、応募者らに関与を強制している。拠点では、少なくとも80カ国・地域の出身者が確認された。生成人工知能(AI)やディープフェイク、仮想通貨(暗号資産)なども活用し、摘発が強まると取り締まりの手薄な国へ移ったり、拠点を分散させたりして活動を続けているという。

 報告書は、中国系犯罪組織だけでなく、日本の匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」なども、域内の詐欺インフラを海外活動の足場にしていると指摘した。主任分析官のインシク・シム氏は、犯罪に必要なサービスがそろう東南アジアは、日本や韓国の犯罪組織にとっても「非常に魅力的」だと述べた。【バンコク小泉大士】

毎日新聞

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