被害なくてもキャンセル続出 夏休みの九州地方、地震で大打撃

2026/07/31 17:38 

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 熊本地震を受け、夏休みシーズンの南九州各地では、宿泊のキャンセルが相次いでいる。ただ、実際にはほとんど被災していない地域も多く、宿泊施設からは「現地の状況を宿に聞き、冷静に判断してほしい」との声が上がっている。

 ◇一部では新たな需要も

 熊本城の石垣が崩落した熊本市。城に近いJR熊本駅前にある「ワン・ステーションホテル熊本」では、地震翌日の7月29日までに200件以上の予約キャンセルが出た。日本航空によると、熊本発着路線は夏休み期間の予約に影響が出始めており、「状況を注視していく」という。

 ただ、ワン・ステーションホテル熊本では、30日以降は新規の予約でほぼ埋まったという。

 九州新幹線の一部は31日に運行を再開し、博多から熊本までは行き来できるようになった。さらに、熊本市は県内各地への移動拠点となるため、ホテルの担当者は「復旧や復興の業務で市内に宿泊する需要が急に高まっている」と指摘する。

 熊本市内の別の老舗ホテルも「8月中はほぼ満室の日が多い」(担当者)という。夏休みの旅行目的の利用が急減したが、地震で発生した新たな需要が経営の支えとなっているようだ。

 ◇1000人規模でのキャンセルにため息

 一方、大きな被害が見られない地域でも宿泊を取りやめる人が続出している。

 「キャンセルの電話が鳴りっぱなしで大変。地震の被害はないのに、予約取り消しが殺到している」

 熊本県内で熊本市に次いで宿泊者が多い阿蘇地域のリゾートホテル支配人はため息をつく。

 このホテルでは、7月30日までに約370室、約1130人分の宿泊予約が取り消された。8月分のキャンセルが多く、中には団体客が秋口に予定していた旅行先を変更し、予約を取り消したケースもあるという。計75部屋のホテルにとっては大きな痛手だ。

 阿蘇の別のリゾートホテル(180部屋)でも、8月末までの約200室、約440人分のキャンセルが発生。約800万円の売り上げが吹き飛んだ。「これからどんどん増えるだろう」と肩を落とす。

 震源から約50キロ北東に位置する阿蘇地域は今回、大きな被害は確認されていない。キャンセルが相次ぐ理由について両ホテルは「熊本地震と広く呼ばれているため、県内の各地が敬遠されてしまう」と見る。

 阿蘇地域は前回2016年の熊本地震で、阿蘇大橋(南阿蘇村)の崩落や断水など大きな被害を受けたことも影響している可能性がある。「宿泊客の受け入れも難しかった前回の地震被害を意識して取り消しに至ったケースもあるようだ」と話す。

 ◇115キロ離れても…カギは新幹線

 震源から約115キロ南に離れた鹿児島市のホテルも予約の取り消しに見舞われている。

 「熊本駅より南側は新幹線が運転を見合わせ、高速道路も熊本県南部で通行止めだ。しばらくはどうしようもない」。老舗ホテルの担当者は悩ましげに言う。

 このホテルでは8月末まで計600人分の予約が取り消された。特にキャンセルが多かった8月上旬の客室稼働率は、約9%下がるという。「熊本経由の陸路を使うのが難しいことを考慮したのではないか」と担当者は推測する。

 鹿児島への交通手段としては、関西からは飛行機、福岡からは東九州自動車道などを使う方法もあるが、料金や時間がかかる。鹿児島観光コンベンション協会の関係者は「九州新幹線が全線再開しないと、鹿児島県の観光業の先は見えない」と語る。

 キャンセルの連絡が相次ぐ宿泊施設からはこんな声が上がる。

 阿蘇のリゾートホテル幹部は「予約取り消しを検討するなら、周辺地域の状況をよく調べて判断してほしい」と訴え、お盆を前に空室が多く出るのは珍しいため「ゆったり過ごす方法もある」と話す。

 一方、鹿児島の老舗ホテルの担当者は「10年ぶりの大地震で不安にさいなまれる気持ちは理解できる。キャンセルを決めたら、ぜひ次の機会に訪れてほしい」と呼びかけている。【宇都宮裕一、中園敦二】

毎日新聞

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