7年ぶりの「みうみま」対決、続くライバル関係 全日本卓球
◇卓球 全日本選手権女子シングルス準々決勝(25日・東京体育館)
◇○伊藤美誠(スターツ)4―3平野美宇(木下グループ)●
全日本選手権では2018年の決勝以来、7年ぶりとなった「みうみま」の直接対決。最終ゲームまでもつれる激闘を制したのは伊藤美誠だった。
一進一退の攻防が続く中、第6ゲームで平野美宇に8―10とマッチポイントを握られた。だが「落ち着いて、相手を見ながら思い切ってプレーできた」と駆け引きで上回った。
返球しにくい平野の体の正面「ミドル」のバック側にボールを集めてミスを誘うと、回り込んでのフォアの強打に加え、サーブでも平野を崩し、4連続得点で一気にゲームを奪った。
勢いのままに第7ゲームも取り、逆転勝ちを収めた。「(劣勢を)挽回して接戦をものにできたことも、平野選手に勝ったこともすごく自分のためになったと思う。(優勝を除けば)全日本の中でも一番うれしい勝ちでした」と笑顔を見せた。
2人は幼少期からのライバル関係だ。21年の東京オリンピックはともに出場し、女子団体の銀メダルに貢献。伊藤は混合ダブルスで日本卓球界初となる金メダルも獲得した。
昨夏のパリ五輪シングルスの代表争いは、同学年の早田ひなが選考レースを独走する中、2人で「2枠目」を争った。選考対象の最終戦となった昨年の全日本で、伊藤は平野よりも勝ち進む必要があったが、先に敗れて代表を逃し、大粒の涙を流していた。
あれから1年。伊藤は「お互いに負けたくない気持ちはすごく強かったと思う。接戦になる覚悟を持って試合に入っていました」。一方の平野も「昨年は対戦はしていないけど、ほぼ伊藤選手と戦っているようなものだった。成長した姿を見せたい」と意気込んでいた。互いの意地とプライドがぶつかり合う好ゲームに、会場の観客も引き込まれていた。
敗れた平野は「(伊藤は)予測能力が優れていて、頭を使っているつもりでも足りない部分が多く、自分の殻を破れなかった。伊藤選手に勝つのは本当に大変」と悔しさをにじませた。
平野はかねて「(伊藤は)尊敬できる選手でもあるけど、負けたくない」と語っている。16歳の張本美和や20歳の大藤沙月ら若手の活躍が目立つ卓球界で、2人はベテランと呼ばれるようにもなった。だが、まだ24歳。ライバル関係はまだまだ続いていく。【玉井滉大】
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