王座統一果たした寺地 打ち合い、のち原点回帰 理想の模索続く
◇ボクシングWBC・WBAフライ級王座統一戦(13日、東京・両国国技館)
◇○寺地拳四朗(BMB)―ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)●
理想の戦いを模索しながら、ベルトを守り続ける。それが、近年の寺地拳四朗だ。テーマは、「圧倒して勝つ」。自身2回目となる日本選手同士の王座統一戦を制し、フライ級での存在感を確固たるものにした。
そもそも、フットワークを生かし、出入りのあるボクシングが持ち味の選手だった。しかし、世界ボクシング評議会(WBC)ライトフライ級王座を失った2021年9月の試合を機に、打ち合いもいとわないスタイルに転換。打撃戦を重ねて王座を奪回し、保持し続けてきた。
父で所属ジム会長の永氏の心中は穏やかではなかったという。
「激闘型だとファンの皆さんは喜ぶけど、身内からしたらヒヤヒヤする」
だからこそ、相手に打たせずに要所で仕留め、2階級制覇を果たした昨年10月の試合で得たものは大きかった。苦難を経ての原点回帰。ユーリ阿久井とはかつてスパーリングを重ね、手の内を知っているだけに「向こうにプレッシャーをかけられる展開だけは避けたい」。今回も、適切な距離を保ちながら勝機を見いだす戦いに努めた。
階級を上げたことにより「減量中心の練習ではなく、『練習中心の練習』ができている」と、力を解き放てる喜びも感じている。当初はフライ級の4団体統一も視野に入れていたが、最近では3階級制覇も示唆。33歳にして、さらなる進化も見据えている。【岩壁峻】
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