駐日米大使候補「日本に約束守らせる」 貿易赤字削減や防衛費増額
米連邦上院外交委員会は13日、トランプ大統領が次期駐日大使に指名したジョージ・グラス氏の人事承認に関する公聴会を開いた。グラス氏は「日本は(米国の)対日貿易赤字の削減や防衛費の増額を約束した。私はその約束を守らせる」と述べ、日本との協議に厳しい姿勢で臨む考えを示した。
上院(定数100)で過半数の支持を得られれば、人事が承認され、日本に赴任することになる。
グラス氏は13日の公聴会で、日本がこれまでの米国との協議で、貿易収支の不均衡是正、防衛費の増額、液化天然ガス(LNG)の米国からの購入増加、重要金属などのサプライチェーン(供給網)の強じん化、先端技術協力の深化を約束してきたと強調。「約束を守らせる」と繰り返し述べ、日本と厳しい協議を進めていく考えを示した。
トランプ氏が日米安全保障条約について「日本には米国を防衛する義務がない」と不満を表明したことに対し、グラス氏は「関係が緊密なほど、透明性の高い議論が可能だ」と釈明。また、「お金の問題は常に議論の対象となる」とも述べ、日本の防衛費増額がトランプ氏の不満解消につながるとの見方を示した。
一方、日本が米国から購入した防衛装備品の納入が遅れている問題の解消や、日本のサイバーセキュリティー態勢の向上に取り組む考えを表明。空対空ミサイルなど防衛装備品の共同生産拡充にも意欲を見せた。さらに、バイデン前政権で強化された日米豪印の4カ国協力(クアッド)や日米韓、日米比など3カ国連携の枠組みを引き続き継続する重要性を強調した。
グラス氏は西部オレゴン州のオレゴン大学卒。銀行勤務を経て、1990年に自身の投資銀行を設立した。2015年には不動産業にも参入。長年共和党を支持し、過去の大統領選でもトランプ氏を支援。第1次トランプ政権(2017年~21年)では駐ポルトガル大使を務めた。今回の人事には、24年大統領選で資金集めに協力したことへの見返りという側面もある。
妻メリーさんとの間に3人の息子がいる。長男一家は日本で13年間暮らしているといい、公聴会ではグラス氏が「6歳半の孫は日本の制度を体現している。親切で思いやりを持つように教育され、賢明だ」と述べる場面もあった。【ワシントン秋山信一】
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