釣り、デート…「週休2日」の学校も 球児のオフ事情 センバツ

2025/03/25 06:00 

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 練習漬けの日々を送るだけではなく、適度なリフレッシュも――。第97回選抜高校野球大会の主催者が出場32校の主将に実施したアンケートでは、ほとんどの学校で週1回の休みを設けていた。学校によっては休養だけでなく、別の狙いもあった。

 ◇「彼女と遊びにいく人も」

 センバツ出場校を対象に取ったアンケートによると、「週に1回休みがある」と答えた学校は23校で全体の7割に上った。「2週に1回休みがある」と答えたのは3校で、回数を明記しない「不定期」の学校は6校だった。

 「週に1回休みがある」と答えた学校で21世紀枠として春夏通じて甲子園に初出場した横浜清陵(神奈川)は、冬場には週1回の休みを2回に増やした。

 体作りでウエートトレーニングが多くなるため、「体に負担をかけた次の日は休んだ方が良い」との意見が部員間で出たのがきっかけだった。横浜清陵は、選手たちが自ら練習メニューなどを全て決める「自治」が特徴で、部員の声を採用した。横浜清陵の山本康太主将は「打球の質も冬を越えて良くなった。週2日休みでも成果は出ている」と胸を張る。

 オフの過ごし方はどうしているのか。横浜清陵は横浜市のみなとみらい地区にある商業施設や観覧車が望める環境にある。体のケアなどで通院する部員が多いというが、「横浜駅近くのダーツとか、ビリヤード」(山本主将)と答えており、野球から離れる選手もいる。

 東海大札幌(北海道)は週1回の「積極的休養日」があり、「何かしら体を動かす日」と位置付けている。体を動かすというのは「自主練習」ではなく外出するという意味で、山口聖夏(せな)主将は「(休日は)皆でラーメンを食べに行ったりする。(昨年8月に)遠藤(愛義(なるよし))先生が(監督に)就任してからは『恋愛禁止』みたいなことも言われていないので、彼女と遊びにいく人もいる」と笑う。

 遠藤監督は狙いについて、「デートに行って街で何か新しい発見をしてくるなど、何でもいいので外でいろんなことに目を向けてきてほしい。頭の休憩はせずに視野を広く持ってほしい」と話す。

 学校と海が近いエナジックスポーツ(沖縄)は「寮に魚は持ち帰れないけど、釣りに行ったり、泳いだりする」(砂川誠吾主将)。青森山田は寮生が多いが、菊池伊真主将は「ボウリングしたり、バスケットボールをしたりする。次の休みに向けて頑張ろうとなるので、めちゃくちゃオフは大事」と話す。

 広島商も休みは週1回。広島県の公立校は教員の負担軽減のため、平日の週1回は原則夕方までに仕事を終える日だと設定されており、その日が部活動のオフになっている。西村銀士主将の休みの使い方は「練習(自主練習)か勉強」という。商業高校だけに、簿記や資格の試験があり勉強も忙しいようだ。

 一方、高松商は休みが「不定期」だ。決まった休みは年末年始ぐらいだが、全体練習の時間が短く、日ごろから自由に使える時間が多いという。それでも「いつも夜遅くまでみんな自主練習している」と山田圭介主将。「野球から離れるのが嫌で、オフがほしいとは思わない。野球をしているのが一番楽しい」と強調する。「スーパーエンジョイベースボール」をスローガンに掲げており、楽しく野球に打ち込んでいる様子がうかがえる。

 日本高校野球連盟などが加盟3818校を対象に行った実態調査(2023年度)では、夏休みなどの長期休暇を除いて週に何日練習するかについて、「毎日」と答えた学校はわずか2・7%で、4032校を対象とした13年度の26・3%と比べて大幅に減っていることが分かった。

 「6日」と答えた学校は72・9%で全体の割合の中で最も多く、「5日」と答えた学校は13年度の3・2%から18・6%にまで上昇。近年では「休みなし」で練習する野球部のほうが珍しくなっている。【吉川雄飛】

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