綱取りの大の里、相撲巧者にヒヤリも11連勝 大相撲夏場所

2025/05/21 21:06 

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 ◇大相撲夏場所11日目(21日、東京・両国国技館)

 ◇○大の里 寄り倒し 若隆景●

 ヒヤリとしたが、白星はつかんだ。綱取りの大関・大の里が小結・若隆景を辛くも退けて11連勝。「危なかったが、流れでいけた」。持ち前の馬力だけでなく、技術力の高さも印象付けた。

 立ち合いから若隆景の右差しで出足を止められ、もろ差しを許した。懐に入られて後退し、窮地に陥ったかに見えた。

 だが、慌てない。右上手を取りつつ、左で胸にあった若隆景の頭を横にずらす。そこから下手投げにきた相手を、押しつぶすように体を預けて寄り倒した。

 土俵下で取組を見た九重審判長(元大関・千代大海)は「若隆景にとっては『あの形で負けるのか』という心境ではないか」と語った。特に着目したのは下がりながらも左で頭をずらした動きだ。

 大の里より55キロ軽い若隆景は、少しでも正面に相手を置いて圧力を伝えたい。九重審判長は、その圧力をずらした瞬時の動きに「大の里の相撲勘の良さと技術の高さが表れていた」。さながら「難攻不落」の取り口をたたえた。

 若隆景は優勝経験があり、けがで関脇から幕下まで番付を落としても再び三役まで上がってきた。大の里は既に勝ち越しを決めている好調の相撲巧者も降した。

 大の里が初日から土つかずの11勝を飾るのは、2回目の優勝を遂げた2024年秋場所以来。いつもは「明日も集中します」と繰り返すが、この日は違った。「もう一度、集中し直します」。自ら手綱を締めた。【黒詰拓也】

毎日新聞

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