「馬力相撲」で存在感 琴桜が横綱を撃破 大相撲秋場所

2025/09/27 09:36 

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 ◇大相撲秋場所13日目(26日、東京・両国国技館)

 ◇○琴桜 寄り切り 豊昇龍●

 巨体を生かして圧倒する「馬力相撲」と言えば横綱・大の里の代名詞だが、この力士も本来は負けていない。大関・琴桜が横綱・豊昇龍を一方的に寄り切って存在感を放った。

 立ち合いを制し、素早く右、左と差し込んだ。相手が右を巻き替えると一気に寄り立て、大きな体を預けて勝負あり。口を結んで悔しがる横綱を尻目に、琴桜は淡々と勝ち名乗りを受けた。

 189センチ、179キロの体を生かし、組んで前に出るのが身上だ。昨年の初場所後に大関に昇進し、九州場所で悲願の初優勝を果たした。しかし、今年は初場所で5勝にとどまると、7月の名古屋場所まで3場所連続で8勝止まり。勝ち越すのがやっとだった。

 その名古屋場所では同じ佐渡ケ嶽部屋の琴勝峰が賜杯を抱いた。琴桜は弟弟子に祝意を送りながら、支度部屋の隅に座って「一緒に喜んでいる場合じゃない」と自分のふがいなさに唇をかんでいた。

 この日の白星は、今年初めて横綱から挙げたものだ。部屋付き親方として指導する審判長の粂川親方(元小結・琴稲妻)は「(琴)勝峰の優勝が刺激になったのではないか」と変化を見て取る。

 ただ、当の大関は全く表情を変えず、「しっかり体の芯で止めることができた。変わらずやっていくだけです」と言葉は少ない。まだ9勝。納得できる勝ち星ではない。【黒詰拓也】

毎日新聞

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