遠藤が引退前に地元・石川で果たした「務め」 大相撲
本場所中の支度部屋では目をつむったまま下を向き、取組を振り返る時も言葉少な。引退する意向を固めた大相撲の元小結、遠藤(35)は、かつては報道陣に多くを語ることはなく、「孤高」とも言える存在感を放ってきた。
◇「小学校に行きたい」
そんな遠藤の古里は石川県穴水町だ。2024年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた。
遠藤は直後の24年2月に、同じく石川県出身で当時は前頭だった横綱・大の里(25)らと穴水町の避難所を慰問した。
それから1年がたとうとする時、地元の後援会から「住民が待っている」と再度の帰郷を打診された。訪ねたい所を聞かれると、遠藤からは「小学校に行きたい」と返事があったという。
今年2月下旬、町内の小学校2校を訪れることになった。後援会によると、遠藤が地元の小学校を訪問するのは約10年ぶり。学校関係者らに当日の様子を振り返ってもらった。
◇サプライズで登場
子どもたちをびっくりさせようと計画は内緒とし、サプライズで訪問することにした。向洋小のランチルームに集まった1~6年生約40人の前に遠藤が登場すると、何も知らなかった子どもたちは驚き、歓声を上げた。
遠藤の大きな手とハイタッチを交わし、力こぶを作った遠藤の腕にぶら下がる子も。和気あいあいとした中、児童からの質問コーナーに進んだ。
「どうして相撲を始めたのですか」
「お父さんにドライブに行くぞと言われて、連れて行かれたのが相撲場でした。嫌だったけれど、泣いてまわしを締めて始めました」
「土俵の下で対戦を待っている時は何を考えていますか」
「今晩は何を食べようかなと。うちの奥さんが作るご飯はおいしいので」
「どれくらいの給料をもらっていますか」
「1円玉にしたら、この教室が埋まるくらいもらっています」
ユーモアのある回答に、子どもたちからは笑いが絶えなかったという。
遠藤は穴水小も訪れて約140人と交流した。「皆さんから元気をもらいました。一緒に頑張りましょう」。そう声を掛け、笑みを浮かべていた。
◇「現役のうちに、よかった」
穴水町の人口は8月31日現在で6700人。能登半島地震では災害関連死も含めて9月25日までに53人が亡くなった。
遠藤が訪れた小学校も被害を受け、子どもたちの生活は一変した。向洋小は倒壊こそ免れたものの、体育館の雨漏りや漏電の修理がようやく始まったばかり。穴水小は既存の校舎が使えなくなり解体工事が進む中、児童はグラウンドに建てられた仮設校舎で授業を受けている。
遠藤は小学校訪問のために帰郷した際、親しい人たちに「現役のうちに帰って来られてよかった」と語り、自身の進退に触れていたという。
お相撲さんとして古里の子どもたちを少しでも元気付けたい――。心に残っていた「務め」も終え、悔いなく土俵を下りる。【黒詰拓也】
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