異色のジャンパー中村直幹が自己ベスト 好調の鍵は「無欲」
◇ノルディックスキー・ワールドカップ(W杯)ジャンプ男子個人第17戦(17日・札幌市大倉山ジャンプ競技場)
◇中村直幹(フライングラボラトリー)263・6点=2位
異色のジャンパー・中村直幹が地元の札幌を沸かせた。29歳ながらワールドカップ(W杯)で自己最高の2位。好調の鍵は徹底した「無欲」だった。
1回目で4位につけても「まあ、(結果は)何でもいいや」と力みとは無縁だった。2回目もきれいな助走から力強く踏み切ると、不利な追い風ながら132・5メートルのジャンプ。大歓声の中、笑顔で拳を握り、待ち構えていた他の日本選手と抱き合って喜んだ。
ジャンプ界で将来を有望視される選手は企業チームに所属するのが通例だが、2019年に「身軽でいたい」と自らスキーチームの運営会社を設立。スポンサーを募るなどして費用を集め、欧州を拠点に活動する。22年2月の北京冬季オリンピックに出場し、同年11月のW杯で自身初の表彰台となる3位に入った。
元々は「欲望の塊」だという。「大ジャンプをしたい」との思いが先行し、「ジャンプ台で集中できていない」ことが多々あった。だが昨季、北京五輪金メダルの小林陵侑や成長著しい二階堂蓮と自身を比較し、「(自分に)こんなに求めるのも違うな」と感じた。以前から取り組んでいる座禅の成果もあり、結果でなく自身のジャンプそのものに集中することが「競技を楽しむこと」につながると悟ったという。
知人やファンが詰めかけた札幌でも平常心を保った。今季、力を入れて改善してきた助走姿勢のことだけを考えて臨んだ。「自分の好きな感じで遠く飛んでいけた」と納得の飛躍だった。
日本勢は二階堂が3位で小林が5位。2月のミラノ・コルティナ五輪でも活躍が期待されるが、中村は「五輪で優勝したいとか、強い思いはあんまりない。まあ、(2人に)負けないように、裏からひっそりと狙っていきます」。あくまで自分らしく戦うつもりだ。【森野俊】
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