「先生に勝ちを」 代打起用に応えた大垣日大・高橋遼 センバツ

2026/03/22 19:34 

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 ◇選抜高校野球1回戦(22日、甲子園)

 ◇○大垣日大2―1近江●

 延長タイブレークにもつれた投手戦の均衡を破ったのは、昨秋に公式戦出場がなかった背番号「19」だった。

 十回1死二、三塁。大垣日大の高橋遼は代打で甲子園の初打席に入ると、緊張のあまり舞い上がってしまった。

 初球を見送り、ベンチを見る。高橋正明監督から「肩の力を抜け」とジェスチャーで伝えられた。

 「自分のスイングをするだけ」。吹っ切れ、得意の真っすぐに絞った5球目。内角低めの速球にうまく腕をたたんで反応し、右翼線に2点適時二塁打。両手をたたき、笑顔がはじけた。

 優勝した昨秋の岐阜大会ではスコアラーを務め、4強入りした東海大会ではベンチから外れた。その直後に練習中のアクシデントで左手首を骨折。バットが振れない中でも体作りに力を入れ、体重を8キロほど増やして甲子園に臨んだ。

 努力を怠らない姿を高橋監督は見逃さなかった。打力を買って甲子園のベンチ入りメンバーに選び、「積極性があり、何かやってくれるという期待があったから」と勝負どころで起用した。高橋には事前に伝え、心の準備をさせていた。

 采配が光ったのは打撃だけではない。

 七回に守備固めで左翼に入れた松井満詩(みうた)が八回、本塁への好返球で失点を阻止。松井は「打球が飛んできてくれて、迷いなく投げることができた。最高のバックホームだった」と胸を張った。

 無死一、二塁から始まる十回裏の守りでは、サインで思い切ったバントシフトを敷き、二塁走者を三塁で封殺した。

 2024年1月に就任した高橋監督は「一番近くで見たいから」と寮で選手と暮らし、監督として甲子園で初勝利を挙げた。「一生のプレゼントというか、一生忘れられないゲームになりました」と目を真っ赤にさせれば、殊勲打の高橋は「先生に勝ちをプレゼントしたいと思っていた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 監督と選手との信頼関係が結実した、「甲子園初勝利」だ。【黒詰拓也】

毎日新聞

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