政府の下請け法改正案が判明 価格交渉義務化、違反で社名公表も
政府が24日召集の通常国会に提出する下請け法改正案の概要が判明した。発注側と下請け事業者との価格決定の協議を義務化し、一方的な支払代金の決定を禁止。現金化に時間がかかる約束手形での支払いも禁じる。また、「下請け」という用語についても「上下関係を感じる」などとネガティブなイメージがあるとして「下請け事業者」は「中小受託事業者」、発注側の「親事業者」は「委託事業者」にそれぞれ改める。
改正案では、下請け法の適用基準も拡大する。現行法では発注側と下請け側双方の資本金の規模に基づき、製造委託の場合、「発注側が3億円超、下請け側が3億円以下」などの適用基準を設け、立場の弱い中小への一方的な「買いたたき」などを規制している。だが、政府は発注側が下請け側に増資を強要する「摘発逃れ」が横行していることを問題視。従業員数に基づく適用基準を新たに設け、製造業で300人超の企業から300人以下の企業への発注、サービス業は100人超から100人以下への発注を規制の対象とする。
また、荷主とトラック運転手などの間の運送委託では、コスト上昇分を取引価格に上乗せする価格転嫁が特に遅れているため、新たに法の規制対象に加える。
これらの規制に違反した企業のうち、悪質なケースは再発防止の勧告を行い、社名を公表する。
「下請け」の名称を巡っては、2024年3月の参院予算委員会で岸田文雄首相(当時)が「今の名称のままでは下に見られるといった指摘がある」と発言したことで、政府内で見直しの検討が進められてきた。「中小受託事業者」に変更されることで、法律の名称も改正される。
政府は「中小企業の賃上げ促進」を重要課題に掲げている。コスト上昇分の価格転嫁を着実に進めることで、中小の収益が改善し、賃上げしやすくなることから、24年から公正取引委員会と中小企業庁で下請け法改正に向けた議論を進めてきた。石破茂首相は16日に開かれた中小企業経営者との車座対話で、「改正法案をなるべく早く国会に提出し、価格転嫁、取引適正化を更に徹底したい」と述べた。【古川宗】
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