25年度PB黒字化できず、4.5兆円赤字の見通し 内閣府試算

2025/01/18 00:09 

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 内閣府は17日の経済財政諮問会議で、財政健全化の指標となる国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)が2025年度に4・5兆円程度の赤字になるとの試算を示した。政府が掲げる25年度の黒字化目標は事実上の断念となる。24年11月に閣議決定した巨額経済対策の執行の一部が25年度にずれ込むことが影響した。

 PBは社会保障や公共事業などの行政サービスを提供するための政策経費を、借金に頼らずに税収などでどれだけ賄えるかを示す指標。内閣府は年2回試算を公表し、前回の24年7月は企業の好業績による税収増などで25年度に8000億円の黒字になるとの見通しを示していた。達成すれば1991年度以来34年ぶりで、小泉純一郎政権が01年に黒字化目標を掲げて以来初となるはずだった。

 だが、24年10月に発足した石破茂政権は前政権の「経済あっての財政」との方針を踏襲し、経済成長を優先。11月に取りまとめた経済対策の裏付けとなる24年度の補正予算は国の一般会計の総額が13・9兆円に上るなど膨らんだ。

 試算では、能登半島地震・豪雨関連の公共事業や中小企業向け支援事業など執行が25年度になる経済対策で5・8兆円の支出増になるとした。また、25年度税制改正で所得税の非課税枠を年収103万円から123万円に見直すことに伴う税収減7000億円などが響いた。

 内閣府は経済成長による税収増などが実現した場合、26年度に2・2兆円の黒字に転じるとした。ただ、今夏の参院選を見据え与野党から歳出圧力も強まるうえ、国民民主党が求める「年収の壁」の更なる見直しが実現すれば税収減も拡大する。

 石破首相は諮問会議で「早期の黒字化実現に向けて歳出・歳入両面からの取り組みを継続する。今後も財政健全化の旗をおろすことはない」と述べた。【山下貴史】

毎日新聞

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