つくばエクスプレス、運賃の値上げ検討 ホーム延伸などの資金確保に
つくばエクスプレス(TX)が8月に開業20周年を迎えるのを前に、運行会社の首都圏新都市鉄道(東京)の渡辺良社長が28日、つくば市で記者会見を開いた。混雑緩和のための車両の8両化や経年劣化した設備の更新などを進める一方、資金確保のため運賃の値上げを検討していることを明らかにした。周辺自治体や民間企業と共に町づくりを進める考えも示した。
TXは2005年8月24日に開業。最高時速130キロの高速運転でつくば駅と秋葉原駅を最速45分でつなぐ。
開業20年で経年劣化した設備の更新は避けられない。朝の混雑解消のため、現在の6両編成を2030年代前半に8両化することを目指してホームの延伸工事も進める。
そうした工事に多額の費用がかかるため、資金調達も課題だという。TXは8000億円をかけて整備されたが、そのうちの6000億円は借入金で、47年まで毎年200億円返済をする必要がある。渡辺社長は「コロナ禍を除いて黒字化はできているが安心な状況で経営できている訳ではない」とし、今後運賃の値上げも選択肢の一つとして検討していくという。
一方で「若い世代に移り住んでもらいお子さんを育てる環境を提供することが将来につながる」とし、子供の運賃や通学定期については「思い切った減額を図れないか検討している」とした。
県内全体では人口が減少しているが、TX沿線では土地区画整理事業と鉄道整備が一体的に進められ、人口増加が続いている。これまでは、沿線の自治体や民間会社が町づくりを担ってきたが、今後は同社も積極的に関与していく方針だ。
例えば、高架下を子育て支援の場や交流施設などとして活用することで移住促進につなげたり、自治体や民間企業、観光業の人たちと意見交換を重ねたりしていくという。「地域の皆さんと共に作り上げる『共創』に取り組み、沿線価値のさらなる向上に貢献していきたい」と語った。【信田真由美】
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