実は889社も 創業100年以上の老舗企業 支えてきた三重の経済

2025/02/09 06:30 

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 2025年は令和7年。「戦後80年」であり、「昭和100年」にもあたる。激動の時代を駆け抜けてきた三重県内企業はどのくらいあるだろうか――。帝国データバンクが24年に発表した「老舗企業」「周年企業」の調査から探ってみた。

 県内には24年9月時点で、業歴100年以上の「老舗」は889社あり、県内での老舗企業の割合を指す「老舗出現率」は3・65%だった。最も高いのは京都府の5・35%で、山形県(5・34%)、新潟県(5・02%)が続く。

 三重はというと、全国平均の2・75%を上回り、14番目に高い。伊勢神宮や歴史ある城下町が県内各所に点在していることが大きな要因となっている。

 業種別では清酒製造業が26社で一番多く、土木工事業が22社、貸事務所業が19社、日本料理店と生鮮魚介卸売業が16社、菓子小売業と印刷業が15社と続く。

 県内で最も古い企業は「なが餅笹井屋」(四日市市)で1550(天文19)年創業。織田信長が1560(天文9)年に今川義元を破った桶狭間の戦いの10年前にあたる。

 これに次ぐのは1565(永禄8)年の「太閤餅」(伊勢市)。1575(天正3)年の「柳屋奉善」(松阪市)と最近はクラフトビールも製造する「二軒茶屋餅角屋本店」(伊勢市)は今年450周年を迎える。信長が鉄砲を活用して武田勝頼を破った長篠の戦いがあった年だ。

 他には建築関連の「いとう」(伊勢市)が1725(享保10)年から300周年、あんこを包んだ「へんば餅」が有名な「へんばや商店」(伊勢市)が1775(安永4)年から250周年をそれぞれ迎える。

 総合物流事業の「日本トランスシティ」(四日市市)は前身の「四日市倉庫」として、「三十三銀行」(四日市市)は起源ともいえる「四日市銀行」が設立された1895年から、ともに130周年となる。

 節目の100周年は26社が迎える(24年11月時点)。「くわしん」の略称で親しまれる「桑名三重信用金庫」(桑名市)は1925年に「有限責任信用組合桑名金庫」として発足。7月1日に創立100周年を迎えるのにあたり、記念のロゴとスローガンを作成して盛り上げる。

 調査した帝国データバンクは「長らく地域経済を支え、時代の変化にも耐えてきた老舗企業の持つノウハウに学ぶべき点は多い」としている。最近は後継者不在や物価高など、倒産する要因は多い中、持続可能な経営の手がかりとして注目に値しそうだ。【村社拓信】

毎日新聞

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