ウクライナ侵攻の影響はほぼ消えた 今のガソリン高止まりの理由は?
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、日本のエネルギー価格に大きな影響を与えた。現在、原油価格への影響はほぼ消えたとみられるものの、侵攻前に1リットル160~170円程度だったレギュラーガソリン(全国平均小売り価格)は185円前後で高止まりしている。なぜなのか。
侵攻直後、世界3位の原油産出国であるロシアからの供給が不足する懸念が広がり、原油価格は高騰した。
指標となる米国産標準油種(WTI)の先物価格は、侵攻前の1バレル=80ドル台に対し、22年3月には一時1バレル=130ドルを超えた。
その後も主要7カ国(G7)の制裁措置など露産原油が市場から消えるといった不安から価格は乱高下した。
エネルギー資源を輸入に頼る日本国内への影響も大きかった。原油輸入価格は22年1月に1キロリットルあたり5万7656円だったのが、22年6月には約1・6倍の9万5745円に急騰した。
ただし、新型コロナウイルス禍からの需要回復で上昇していた燃料価格を抑えるため、国が22年1月に始めた石油元売りへの補助金制度によって、消費者への影響は抑制された。
補助がなかったと仮定した場合の小売価格は、レギュラー1リットルあたり200円を超える水準が数カ月続いた。
その後、ロシアからの輸入を止めた欧州に代わり、インドや中国が安価な露産原油の輸入を拡大。欧州は中東や米国からの輸入を増やしたことで原油市場全体の供給不安は解消され、原油価格は下落傾向に転じた。
また、停戦を訴えていたトランプ米大統領の再選が取り沙汰され始めた24年春以降、原油価格は侵攻前の水準まで落ち着いた。
それでも日本国内でガソリン価格が高止まりしているのは、昨年12月からガソリン補助が縮小されて小売価格が上昇したことに加え、円安で輸入価格が押し上げられている影響が大きい。
石油連盟の木藤俊一会長(出光興産社長)も原油価格の水準は落ち着いているとして「(ウクライナ侵攻の)原油価格に対する影響は今、大きなものではない」と述べた。
一方、円安は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げによって進行した側面が大きい。日本総合研究所調査部の栂野裕貴研究員は「米国が急激な利上げをした一因には(ウクライナ侵攻による)エネルギーショックがある。円安という為替面での影響は根強く残っている」と話す。【高田奈実】
-
山あいに「地域共生コンビニ」 ローソンが出店、買い物の拠点に
国内でコンビニエンスストアの店舗数が飽和状態にある中、ローソンは山間部などの過疎地への新規出店を進めている。昨年11月、秋田県由利本荘市と湯沢市などを結ぶ国道…経済 59分前 毎日新聞
-
トランプ氏に関税やめろは「無理」 現実的な対策を 訪米した新浪氏
米首都ワシントンを訪れ政財界要人と会談した経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)は21日、トランプ政権の関税引き上げについて「止めろと…経済 1時間前 毎日新聞
-
FDA、福岡-新千歳線を新規運航 3月30日から毎日1往復
航空会社「フジドリームエアラインズ」(FDA、静岡市)は3月30日から新たに路線を拡大し、福岡空港と新千歳空港を結ぶ定期便を開設する。 FDAは日本航空(J…経済 4時間前 毎日新聞
-
「次のボンド役、誰を選ぶ?」 「007」、Amazonが製作権
米IT大手アマゾン・コムグループが人気スパイ映画「007」シリーズの製作権を取得した。これまでは最初に映画化を手がけた一族が一貫して製作権を握っていたが、今後…経済 6時間前 毎日新聞
-
対中関税措置に「強い懸念」 中国副首相、米財務長官と電話協議
ベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相は21日、電話協議し、2国間の経済関係について意見交換した。トランプ政権発足後、米中経済閣僚のトップが協議するのは初め…経済 7時間前 毎日新聞