山あいに「地域共生コンビニ」 ローソンが出店、買い物の拠点に

2025/02/22 16:29 

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 国内でコンビニエンスストアの店舗数が飽和状態にある中、ローソンは山間部などの過疎地への新規出店を進めている。昨年11月、秋田県由利本荘市と湯沢市などを結ぶ国道108号沿いの山あいにもオープン。スーパーの役割も担う「地域共生コンビニ」が地元で欠かせない買い物拠点になってきた。

 由利本荘市鳥海町上笹子地区にある「ローソン由利本荘鳥海町店」。冬は3メートル近い雪が積もり、最寄りのコンビニやドラッグストアまでは車で25分ほど離れている。地元住民からは「大きめのコピーができて助かる」「公共料金も支払えるようになった」と歓迎の声が上がる。

 JA秋田しんせい(同市)グループで食品スーパーなどを展開する「ジェイエイ秋田しんせいサービス」がローソンとフランチャイズ契約を結び、営業を始めた。

 店内は一般的なローソンの品ぞろえに加え、生鮮品や冷凍食品の多さが特徴。地場の食材や調味料も並び、地元で需要が高い日本酒の種類も豊富だ。

 地元には60代以上の住民が多く「大雪の予想の前には1週間分必要なものをまとめ買いする人も多く、一度の買い物の額が他の店舗より1・3倍ほどになり、採算は取れている」(ローソンの担当者)という。

 好評なのがコピー機や住民票発行で「プリンターが自宅にない」「受験などで必要な書類のコピーが必要なので助かった」といった声が寄せられている。開店は6~22時で、地元に以前あったスーパーに比べて7時間長くなったことを歓迎する声や、公共料金の支払いの面でも「遠くに行かなくて済むので便利になった」といった感想がある。

 買い物に来ていた地元の専業農家の40代女性は「以前ここにあったスーパーのAコープが閉店してショックだったが、ローソンになって若い人が集まるようになった。時々来て店を盛り上げていきたい」と話す。

 ローソン広報部によると、ここでの出店には、地元で洋上風力発電事業に取り組む「秋田由利本荘オフショアウィンド合同会社」や由利本荘市も協力した。商品価格は一般のローソンと同額で、地元の需要に合わせて和菓子や大容量の洗剤などの日用品、彼岸などを意識した花などもそろえたいという。

 ローソンは「大手コンビニのノウハウを取り入れた経営の安定化とさまざまなサービスの拡充で、地元の買い物弱者への支援や利便性の向上を目指したい」としている。【工藤哲】

毎日新聞

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