住宅はいま「売り時」で「買い時」? 金利上昇懸念で駆け込みも
いま住宅は売り時だが、買い時でもある――。不動産仲介の野村不動産ソリューションズが実施したアンケート調査で、不動産価格の上昇を受け「売り時」と考える人が多数いる一方、今後の金利上昇を予測して今が「買い時」とする人が一定割合でいることが明らかになった。
今後の不動産価格の推移について尋ねたところ「上がる」と予測した人は43・5%に上った。「横ばい」(29・2%)や「下がる」(18・6%)を上回り、上昇予測が優勢だった。
上昇を予測する理由を自由記述で挙げてもらったところ、「都内など利便性が高いエリアは上昇傾向が今後も更に続く」「人件費と資材高騰、円安、低金利により下がる要因がない」といった意見が寄せられた。
不動産価格の上昇予想が強い中で、「売り時だと思う」「どちらかと言えば売り時だと思う」と回答した人は計78・9%と多数を占めた。
一方で、「買い時だと思う」「どちらかと言えば買い時だと思う」とする人も計32%と少なくない。
その理由として最も多かったのは「今後、住宅ローン金利が上がると思われる」(59・9%)だ。前回2024年7月の調査と比べると11・7ポイント増加した。
野村不動産ソリューションズは「不動産価格の上昇を想定し、金利がまだ低水準のうちが買い時と考える顧客が多い」と分析する。
日銀は1月、政策金利を0・5%程度に引き上げた。長期金利の上昇などを反映し、三菱UFJ銀行など国内大手銀行は、3月から適用する住宅ローンのうち10年固定型は5行すべてが前月から金利を引き上げた。
一方で、多くの住宅ローン契約者が選ぶ変動型は5行とも前月から金利を据え置いている。
野村不動産ソリューションズも「住宅ローンの基準金利を上げても(信用力などに応じて実際に課される)適用金利を上げない、もしくは上げ幅を抑えた銀行が多く、利上げの影響はまだ少ない」と指摘する。
こうした状況もあり、中古マンション市場では「東京都心部やその周辺エリアは、金利上昇局面でも購入の意欲は衰えていない印象」と話している。
調査は1~2月、野村不動産ソリューションズが運営する不動産情報サイト「ノムコム」会員を対象に実施し、2075人の回答をまとめた。【嶋田夕子】
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