「追加関税は駆け引きなのか…」 「カーアイランド」九州で懸念の声

2025/03/27 19:49 

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 トランプ米政権が、米国外で製造された自動車とエンジンなどの主要な部品に25%の追加関税を4月3日以降、順次発動すると発表した。自動車の生産拠点が集まり「カーアイランド」と呼ばれる九州では米国向けの部品などを製造している企業も多く、先行きを懸念する声が上がった。

 「関税の影響でメーカーが減産すれば下請けの我々の収益は減り、打撃は避けられない」。自動車部品を製造する北九州市の会社の担当者は27日、取材に対し、そう不安をにじませた。

 この会社は北米などに自動車を輸出する大手メーカーに部品を納入している。追加関税への対応についてメーカーから連絡はないといい、担当者は「(米政権の方針は)駆け引きかもしれないが、我々にはどうしようもない」とこぼす。

 門司税関によると、九州経済圏(山口、沖縄両県を含む)からの自動車の輸出先を年間輸出額で見ると、米国が約1兆円(2024年)と最も多く、全体の約3割を占めている。

 公益財団法人「九州経済調査協会」(福岡市)の河村奏瑛(そうえい)研究員は「自動車産業は九州では大きな存在。関税が発動されれば米国に生産拠点を移す動きが出る恐れがあり、産業が空洞化して競争力が低下する。サプライチェーンを含む地域全体にも波及する問題だ」と指摘。「米国の方針転換も含め、今後の動きを注視したい」と話す。

 自動車部品を生産する福岡県内の金属加工会社の社長も「主な輸出先はアジアの自動車工場だが、完成品が北米に輸出されている可能性もある。どう影響してくるのか読めない」と困惑する一方、「今はトランプ大統領の言動で右往左往しているが、業界としては中国市場の冷え込みの影響の方が心配だ」と話した。【田崎春菜】

毎日新聞

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