小林製薬 会社提案の改革案、創業家の反対で否決 株主総会

2025/03/28 21:08 

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 小林製薬は28日、大阪市で定時株主総会を開き、取締役会の議長を社外取締役と定める会社提案の定款変更議案が創業家側の反対で否決された。

 紅こうじサプリメントによる健康被害問題を受けた企業統治改革の一環として会社側が提案していたが、同社によると、約3割の株を保有する創業家関係者の賛同が得られず、可決に必要な議決数に達しなかったという。可決には出席株主の3分の2の賛成が必要だった。

 株主総会ではこのほか、執行役員だった豊田賀一氏の新社長就任や社外取締役5人の新任を含む計10人の取締役選任案が賛成多数で可決された。

 小林製薬によると、社外取締役6人のうち5人が新任となり、議事の進行が円滑に行われなくなるなどの懸念から、創業家側は現時点での定款変更を「適切と言えない」と判断したという。創業家出身で元社長の小林章浩取締役は議案を審議する取締役会で反対意見を表明していた。

 豊田社長は28日のオンライン記者会見で「結果は残念。創業家も改革を前に進めたいという思いは一緒で、考え方の違いと理解している」と強調した。

 小林製薬の大株主で、アクティビスト(物言う株主)として知られる香港ファンド「オアシス・マネジメント」は定款変更議案に賛成していた。同社幹部のフィリップ・メイヤー氏は「驚きと失望を感じている」とコメントした。

 2024年12月時点で、筆頭株主として章浩氏が12・46%の株式を保有し、前会長の小林一雅氏が理事長を務める小林財団も大株主に名を連ねている。一方、章浩氏は今回の株主総会の議決権行使を棄権したという。【妹尾直道】

毎日新聞

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