トランプ氏、自動車部品の25%関税を一部免除へ 今後2年間

2025/04/30 07:43 

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 トランプ米政権は29日、自動車関税の負担軽減策を発表した。米国内で完成車を組み立てる自動車メーカーを対象に、海外製の自動車部品に課す25%関税を、今後2年にわたって一部免除する。米国に生産拠点がある日本車メーカーにも適用される。25%の自動車関税は継続するが、鉄鋼・アルミニウム関税やメキシコ、カナダへの制裁関税は上乗せしない。

 発表によると、米国内で組み立てられた自動車を対象に、2026年4月末までの1年間は、車両小売価格の15%を対象に自動車部品への関税を免除する。関税率は25%のため、車両小売価格の3・75%が免税額となる。

 米国で完成車を組み立てる日米欧などの大手自動車メーカーは、米国外の多くの系列部品会社から製品を輸入しており、この取引で25%の関税コストがかかる。系列トップに立つ各メーカーは、免税分を経営基盤の弱い傘下の部品会社のコスト負担軽減に回すとみられる。

 26年5月1日から27年4月30日までの2年目は、免除割合を10%に縮小し、車両小売価格の2・5%が免税額となる。それ以降は免税を廃止する。

 トランプ政権は5月3日までに自動車部品に対する25%関税を発動する予定で、エンジンやトランスミッション(変速機)など重要部品の生産拠点を米国内に移転するよう促している。ただ、大手自動車メーカーが傘下の部品会社の工場を米国内に移転させるには、相当の時間がかかる。自動車部品の一部免税で猶予期間を与え、2年かけて工場の移転を進めさせる考えだ。

 4月3日に発動済みの米国外で生産された自動車に対する25%の関税は継続する。ただ、第2次トランプ政権は国家安全保障上のリスクを理由にした鉄鋼・アルミへの25%関税や、合成麻薬の流入対策の不備を理由にしたメキシコ、カナダへの25%関税などが乱立している。特定品目に対する関税の重複を避けるため、自動車関税が課された場合、これらの関税は適用されない。

 トランプ大統領は第2次政権発足から100日となる29日に、米自動車産業が集積する中西部ミシガン州デトロイト郊外で演説。関税引き上げによる自動車産業の復活を唱えると同時に、自動車関税の負担軽減を求める自動車メーカーに配慮を示した形だ。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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