「関税を食らえ」 トランプ氏、関税理由の値上げをけん制

2025/05/18 09:06 

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 トランプ米大統領は17日、米小売り大手ウォルマートに対し、関税引き上げを理由にした値上げをしないよう要求した。自らの交流サイト(SNS)に「関税を食らえ」と投稿し、輸入品にかかる関税分を小売価格に転嫁するのではなく、自社負担するよう求めた。

 トランプ氏はSNSで「ウォルマートはチェーン全体の値上げの理由を、関税のせいにしようとするのをやめるべきだ」と主張。「昨年、予想をはるかに上回る数十億ドルを稼いだ。ウォルマートと中国は『関税を食らう』べきであり、顧客には何も請求すべきではない。私は見ている!」と加えた。

 ウォルマートのジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)は15日、米CNBCテレビのインタビューで「今回のように急激かつ大規模な価格上昇は前例がない」と述べ、トランプ関税を受け、5月下旬から販売価格を引き上げる考えを示していた。

 米国では、トランプ政権の大規模な関税発動前に輸入した在庫が底を突いた後、関税分が小売価格に転嫁され、さまざまなモノの値段が上昇するとみられている。米国は安価な日用品などを輸入する中国への関税を145%から30%に引き下げることで合意したが、それでも関税分を米国の小売企業が全て負担するのは難しいとみられる。

 トランプ氏はバイデン前政権下で起きた物価上昇(インフレ)を猛烈に批判して昨年11月の大統領選に勝利しており、関税を原因としたインフレが起きれば有権者からの批判は避けられない。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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