「著作権のただ乗り」と批判 米ディズニー、米新興AI企業を提訴

2025/06/12 12:27 

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 米ウォルト・ディズニーと米ユニバーサルなどは11日、人工知能(AI)による画像生成サービスで知られる米新興企業ミッドジャーニーに対する訴訟を連邦地裁に起こした。人気キャラクターの画像を「複製」し、公開や配布することで著作権を侵害していると主張。差し止めとともに、額は明示せず損害賠償も請求した。米メディアによると、同種の訴訟を起こしたのは「ハリウッドの大手スタジオとしては初めて」(ニューヨーク・タイムズ紙)という。

 ミッドジャーニーが提供しているのは、指示文などに基づいてすぐに画像を作り出すサービス。ただし、著作権で保護されている素材のような画像が生成されることもあるとして、米メディアなどで話題になっていた。

 訴状によると、ディズニーなどは「我々は100年以上にわたって、史上最高の映画と架空のキャラクターを生み出すことで世界中の観客を喜ばせてきた」と強調。「ミッドジャーニーはAIによる画像生成サービスを販売することで、原告らによる創造的な投資の恩恵を得ようとしている」と指摘し、「著作権のフリーライダー(ただ乗り)の典型であり、盗用の底なし沼だ」と厳しく批判した。2024年9月時点でミッドジャーニーのサービスには約2100万人の加入者がいたという。

 提訴に先立ち、ディズニーなどはミッドジャーニーに対し、著作権侵害をやめることや、著作権を侵害したものを生成することを防ぐために他のAI企業が採用しているような技術的な措置をとるよう求めたが、無視されたという。

 100ページを超える訴状には、スター・ウォーズ▽トイ・ストーリー▽アナと雪の女王▽ミニオンズ▽シュレック――など人気映画のキャラクター画像と、AIによる画像生成サービスで作られた画像などが多数並べられている。ミッドジャーニーは動画サービスの開始も企画しており、著作権侵害の恐れが高まるとも指摘している。

 生成AIを巡っては、その学習に無許可でコンテンツが使われ著作権を侵害されたとして、音楽企業やメディアなどが訴訟を起こしている。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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