年金法案、参院厚労委で可決 付則に「底上げ策」 13日成立へ

2025/06/12 16:41 

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 「基礎年金底上げ策」を付則に盛り込んだ年金制度改革関連法案が12日、参院厚生労働委員会で賛成多数で可決された。13日に開かれる参院本会議で可決・成立する見通し。

 公的年金制度は、年金財政の健全性を確認するために5年に1度実施される財政検証に合わせて見直される。

 今回の改革の柱は、基礎年金の底上げ策だ。比較的財政が好調な厚生年金の積立金を活用し、将来、就職氷河期世代以降を中心に3割下がると見込まれる基礎年金の給付水準を底上げする狙いがある。実施は2029年の次期財政検証を踏まえて判断する。

 底上げ策は「厚生年金の流用」との批判があり、参院選を控える政府・与党が法案の提出前に削除した経緯がある。少数与党の自民、公明両党は、底上げ策が削除された法案を「あんこのないあんパン」と批判していた立憲民主党と協議し、「復活」させることで合意。衆院で、3党が修正案を提出し、反映した法案が可決された。

 今回の改革は、少子高齢化や、高齢者や女性の就労増、家族の形やライフスタイルの変化などに対応することが主な目的だ。

 パートら短時間労働者の厚生年金加入を進める適用拡大では、「年収106万円の壁」と呼ばれる月額8万8000円の賃金要件を、26年10月をめどに撤廃する。現行では従業員51人以上の企業を対象にする企業規模要件は段階的に見直し、10年後の35年10月に撤廃する。

 一定の給与がある高齢者の厚生年金を減額し、働き損になると指摘されている「在職老齢年金」も見直す。遺族厚生年金で、支給に男女差が残る場合の是正措置なども盛り込んだ。【宇多川はるか、寺原多恵子】

毎日新聞

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