5キロの服にも対応 壊れない「段ボールハンガー」が実現するまで
ハンガーや衣服カバーでプラスチック製品を使うクリーニング業界。その量を減らし温室効果ガスの排出を削減しようと、福岡では段ボール製の衣類ハンガーが開発された。
手掛けたのは、リネンサービスを提供するアルサ(福岡市)と大国段ボール工業(福岡県行橋市)。県リサイクル総合研究事業化センターが仲介した。
クリーニング工場の仕上げ工程で、服はハンガーにつるされレールを移動して包装される。その際、フック部分には常に荷重がかかるため壊れやすい。
そこでフック部分を段ボール2枚重ねで強化しボディー部分と分離した。組み合わせて使う構造にしたことで、フック部分が劣化しても交換すればボディー部分を再利用できる。2022年、工場で使うものとしては業界初の段ボール製ワイシャツ用ハンガー(縦22センチ、横26・7センチ、厚さ3ミリ)が生まれた。
さらに、重量のあるコートやスカートなどを想定し重さ2キロまで耐えられる「カードボード(英語で段ボール)ハンガー」(縦26センチ、横38センチ、厚さ3ミリ)を2年がかりで完成させた。スカートを挟むクリップも段ボール。フック部分は段ボールの目を縦横互い違いに重ね、強度を高めた。
国内では、22年に使い捨てプラ削減を目的に「プラスチック資源循環促進法」が施行された。業界全体で年間約8000トン近くのプラ製ハンガーを使用してきたが、アルサが運営するクリーニング店では、段ボール製の導入でプラ使用量を年間計約1・5トン削減した。段ボール製は店で客から回収して工場で再利用し、劣化すればリサイクル。回収率は現在約5割という。
7月からは重さ5キロまで対応するハンガーも実用化。アルサ執行役員の毛利明光さん(47)は「全部を段ボール製ハンガーにしたい考えで取り組んでいる。環境負荷を軽減するきっかけになればうれしい」と話した。【井上和也】
◇カードボードハンガー
アルサが運営する自然派クリーニング「そらいろクリーニングファクトリー」で使用。2022年にワイシャツ用で福岡デザインアワードの銀賞、24年にスーツやスカートなどの荷重にも対応するハンガーで金賞。23、24年度にグッドデザイン賞も受賞した。アルサ(092・263・7222)。
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