日本製鉄、USスチール買収は「活路と確信」 業績予想は赤字

2025/08/01 21:20 

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 日本製鉄は1日、2026年3月期の連結業績予想で最終(当期)利益を400億円の赤字に下方修正した。従来予想は2000億円の黒字だった。米鉄鋼大手USスチールの買収に伴い、米競争法上の理由で関連企業の株式を売却した損失が響いた。一過性の損失の計上としている。一方で、本業のもうけを示す事業利益の見通しはUSスチール買収による利益貢献により、4800億円に上方修正した。

 現在の事業環境について森高弘副会長は決算記者会見で、中国勢の過剰生産による市況低迷やトランプ関税による製造業への打撃懸念などで「厳しい状況に拍車がかかっている」と説明。今後の成長の活路になるのは「買収を完了したUSスチールだと確信している」と話し、理解を求めた。

 日鉄は6月、計画発表から約1年半がかりでUSスチールを完全子会社化した。28年までに総額110億ドル(約1・6兆円)を投資する計画だ。現在、技術者を中心に約40人の社員を派遣し、日鉄の操業技術の導入や設備投資の方針などについて詳細な計画策定を進めている。

 日鉄によると、25年度はUSスチールの実力ベースの事業利益9カ月分に当たる800億円の貢献を見込む。26年度以降は1500億円程度まで買収効果を高め、28年度には2500億円を目指すという。【成澤隼人】

毎日新聞

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