ふるさと納税 草加市が埼玉県内で初の首位 トイレットペーパー好評

2025/09/01 14:45 

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 総務省が公表した2024年度のふるさと納税の現況調査で、埼玉県草加市の寄付受け入れ額が県内の市町村で初めて首位になった。主に返礼品のトイレットペーパーが好評だったといい、物価高に伴う消費者の節約志向が色濃く表れた。県全体では、前年度比約4割増の123億5361万円だった。【増田博樹】

 草加市の受け入れ額は前年度の約2・9倍の17億757万円。トイレットペーパーなど、市内に工場を置く日本製紙クレシア(東京都千代田区)の製品が受け入れ額の約8割を占めた。いずれも市内に本社がある、「フクイ」のチョコレート▽「渡辺教具製作所」の地球儀▽輸入食品卸などを手がける「シン・インターナショナル」の韓国のり――なども人気だった。

 15年に返礼品提供を始めた当初は特産のせんべいなどが主力だったが、21年度からクレシア製品のメニューを充実。それまで1000件に満たなかった寄付件数は22年度に1万2861件、23年度3万7491件と右肩上がりに増え、24年度は12万885件と前年度の3倍以上になった。

 節約志向が高まっているとはいえ、トイレットペーパーなどの日用品は他の多くの自治体も提供している。草加市の担当者は「(寄付先に選ばれたのは)作り手の思いを伝えるなど、返礼品ページを作り込んだことも要因の一つにあると思う」と話す。首位になったことについては「大変うれしい。今後も市の産業振興に努めたい」としている。

 2位は13億5767万円の北本市。5年連続の首位は逃したが、過去最高だった前年度から約14%伸ばした。

 高級紳士服で知られる「英国屋」(東京都中央区)のオーダースーツ仕立補助券や、グリコの菓子詰め合わせなどの支持が高い。いずれも市内に工場がある。農産物では、県オリジナル品種のナシ「彩玉(さいぎょく)」がすぐに予定数に達する人気だという。

 北本市の担当者は、「件数が前年度より約3割増えており、さまざまな事業者に注目が集まったと思う。幅広くPRができたと、結果は前向きにとらえている」と話す。

 順位を大きく上げたのが小鹿野町。町内に工場がある「さくらドーム」(福岡県糸島市)の自動開閉式ゴミ箱「ZitA SQUARE(ジータスクエア)」が24年に返礼品に加わり、寄付受け入れ額全体の8~9割を占めた。町担当者によると、町内の事業者への働きかけを強め、前年度に30~40程度だった返礼品数を約100種類に増やしたことも奏功したという。

 昨年度も受け入れ額が大きく増えたふるさと納税だが、地域支援より返礼品やポイント目当ての「官製通販」との批判も根強いうえ、税が流出する都市部の自治体からは見直しを求める声もある。10月からはポータルサイトのポイント付与が禁止される。08年の開始から17年になるふるさと納税は、制度のあり方も問われている。

 ◇県内のふるさと納税受け入れ額上位自治体

1(5)草加市 17億757万円

2(1)北本市 13億5767万円

3(4)さいたま市 11億4900万円

4(2)深谷市 10億1788万円

5(6)上尾市 7億105万円

6(7)加須市 6億1835万円

7(3)川越市 6億862万円

8(9)東松山市 3億3534万円

9(11)羽生市 3億2864万円

10(38)小鹿野町 2億6577万円

※総務省調べ。2024年度。カッコ内は23年度の順位

毎日新聞

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