万博で生まれた「エネルギー」をどうするか 関西財界セミナーで議論
関西の企業経営者らが社会課題などを議論する「第64回関西財界セミナー」が5日から2日間、京都市の国立京都国際会館で開かれた。2025年に開催された大阪・関西万博で披露された新技術やサービスの成果をいかに社会実装につなげ、関西経済の活性化に結び付けるかなどについて、意見が交わされた。
関西経済連合会と関西経済同友会が主催し、683人が参加。六つの分科会に分かれて議論した。
関西経済同友会の永井靖二代表幹事(大林組副社長)は開会あいさつで関西の域内総生産(GRP)について言及。前回の大阪万博が開かれた1970年の19%をピークに停滞している現状を挙げ、「関西ひいては日本経済の発展に向けて巻き返しを図る転機とすべきものが昨年の万博だった」と述べた。
万博後の社会実装を考えた分科会では、普及するために求められる視点への意見も。警備会社の東洋テックの池田博之社長は、メーカー側からAI(人工知能)を搭載したカメラや清掃ロボットなどの導入を提案されるが、使う側の視点が欠けるケースが目立つとして「供給側と使用する側が一緒にやる視点が必要だ」と述べた。
また、万博会場となった夢洲(ゆめしま)の活用について、京南倉庫の上村多恵子社長は「夢洲はまだまだ広い。製造業の国内回帰を推奨しながら、万博で実証したイノベーションの新産業基地にしていくべきだ」と主張した。
万博後の新たな観光とまちづくりをテーマとした分科会では、31年に大阪市内を南北に貫く新線「なにわ筋線」が完成することをにらみ、鉄道網のネットワーク拡大により交流人口を増やす必要性の意見も相次いだ。
なにわ筋線に乗り入れる南海電気鉄道の桐山朋子執行役員は、完成により大阪・難波が埋没しないよう、「エンターテインメント機能などを強化し、カオスや多様性といった難波のごちゃごちゃ感は維持しつつ、働くと遊ぶが融合した新たな価値創造に取り組む」と述べた。
このほか、AIをテーマとした分科会では、AIを取り巻く環境がめまぐるしく変化している現状や、導入した企業の事例などが紹介された。
パナソニックホールディングスの玉置肇副社長は「早い段階からチャットGPTなどを導入しているが、それだけでは生産性は上がらない。一方で導入しないと若い人が辞めてしまい、引き留めるためには必須」と述べた。業界横断で使える「関西AIエコシステム」の構築の必要性などを認識した。
記者会見した関経連の松本正義会長(住友電気工業会長)は「ワン関西での取り組みが奏功した万博で生まれたエネルギーをいかにして今後の発展につなげていくか、さまざまな課題に対して関西の存在感を示していくかといった面で、今回の財界セミナーで経済界の気持ちを一つにする有意義な場になった」と話した。【新宮達】
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