「転売お断り!」 奈良の道の駅、高級イチゴ買い占め対策で掲示

2026/02/07 11:15 

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 「転売目的の買い占め お断りします!」

 奈良生まれの高級イチゴ・古都華(ことか)の「聖地」とアピールする平群町の「道の駅大和路へぐり くまがしステーション」イチゴ売り場に、こんな掲示が掲げられた。疑わしい大量購入が絶えず、抑止効果を狙った。これから出荷のピークを迎える時期で、中山悟所長は「道の駅は(卸売り)市場ではない。地域振興のため、新鮮で安全安心な地場農産物をできるだけ多くの一般の消費者に買ってもらう場所」と強調している。

 掲示の言葉は「平群のいちご 転売目的の業者・小売店の商品の大量買占め お断りします」。本格的な警告掲示は初めてで、複数箇所に目立つように掲げた。イチゴの品種を特定していないが、売り場のほとんどを古都華が占める。

 古都華は2011年に登録された比較的新しい品種。果皮があでやかで美しく、果肉は糖度、酸度とも高く、甘みと酸味とのバランスが良い濃厚な味わいが特徴だ。病気に弱く、面積当たりの収穫量も少なく、栽培は難しいとされる。町内では「平群いちご研究会」を中心に早くから栽培され、23年10月時点で、栽培面積は県内の2割近くを占め、市町村別ではトップだった。当時は町内で15人が生産に携わり、現在は17人に増えているという。

 町内では、奈良生まれのアスカルビーや奈乃華、ピンクの淡雪、真っ白なパールホワイトなども栽培されているが、古都華の人気が飛び抜けて高く、イチゴ売り場の状況を反映している。

 この時期、古都華を多く使った「古都華パフェ」(今季は26個使用)も道の駅で予約制で食べられる。絵になり、テレビなどのマスコミ、SNSで取り上げられることが多い。大阪府と接するという平群町の地理も人気に拍車をかけており、特に土日は毎年、駐車場があふれ、数百人の購入待ちの列ができることもあるという。

 生産者の一人が「日本一おいしいイチゴといっても過言ではない」と自負するように、市場での評価も高い。この時期、大阪の百貨店でも目立つ場所に置かれることが多い。輸送費がほぼかからず、中間マージンもない道の駅では、普段は高くても1パック1000円台で販売され、価格面で魅力的な場所だ。

 関係者によると、一般の人は通常、コーナーを回って、イチゴをじっくり見定めるが、よく見ずに箱をどんどんカートに積み、レジに向かうような人もいるという。イチゴ売り場を担当する70代の女性は「転売目的と疑わしくても、なかなか声は掛けにくい。こういう掲示があると、助かります」と語る。

 中山所長は「ブームと感じるほど、多くの人に買っていただけるのはありがたい。しかし、道の駅の役割は地域経済の振興であって、個人の利益を後押しすることではない。転売目的の購入はしないでほしい」と話している。【熊谷仁志】

毎日新聞

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