スポドリから麦茶へ“日常の水分補給飲料”として舵を切った『GREEN DA・KA・RA』の…

『GREEN DA・KA・RA』『GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶』

【写真】ひと目でコーン茶とわかる鮮やかな黄色デザイン『やさしいコーン茶』パッケージ
■スポドリ市場で見えた『DAKARA』の限界「安心安全なものにこだわれば、ニーズを捉えられる」
1980年頃から日本に定着したスポドリは、一般的に「汗で失われたナトリウムを補給する」ことが大きな目的だった。ところが1990年代、健康意識の高まりから「ナトリウムの摂りすぎが気になる」というユーザーの声が増えてきた。それに対応したサントリーは、余分なナトリウムなどを排出させ、現代人が不足しがちな栄養素を補う『カラダ・バランス飲料』として、2000年に『DAKARA』を発売したのだ。
「従来のスポドリはスポーツをした時や体調不良の時など、ある種非日常的な飲料のイメージでしたが、それに対して『DAKARA』は日常生活に焦点を置いた商品と捉えていました」(サントリー食品インターナショナル ブランドマーケティング本部 課長・井島隆信さん/以下同)
当時揺るがないとされていたスポドリ2大ブランドがありながらも、しょんべん小僧がトレードマークだった『DAKARA』のCMは強烈な印象を放ち、発売されるや同社の人気商品へと成長。発売年には1500万ケース、2002年には3400万ケースを売り上げたが、2000年代半ばに入ると地球温暖化による熱中症が社会問題化。ナトリウムを含んでいない『DAKARA』は限界を迎えることに。その課題感とともに、同社は“適度なナトリウム補給ができるスポドリ”の開発へと入っていく。
「お客様に調査したところ、スポドリには聞いたことのない原材料名が並んでいることから『子どもに飲ませづらい』というお声や、『甘さが強くて口に残る』というお声がありました。そこでターゲットを明確にしようと、”親子”を象徴ターゲットとしました。やはりお子さんを持つ親御さんなら『安全・安心なものを飲ませたい』気持ちがあると思いますし、安心な素材にこだわった商品で打って出れば、スポドリ市場のニーズを捉えることができると考えました」
この「安全・安心な素材にこだわる」ことをブランドの精神とし、ユーザーの身体を思った設計、飲み口など、様々な”やさしさ”を追求した商品ブランドとして『GREEN DA・KA・RA』が誕生する。「すっきりした飲み口、後味にはかなりこだわりました。基本的にちびちび飲むのではなく、ごくごく飲むドリンクですから、やはり喉通りが良くてスッキリした後口にしたい。それをなるべく安心な素材で作りたいというのがブランドの根底にありました。ただし、お子様から高齢者まで幅広くハマるような中味にするのは難しく、開発では相当苦労したと聞いています。果実や食塩など素材由来の原料での中味のバランス調整や、素材由来の香料での香りづけが難しく、試作は2,000回にも及んだそうです。試作回数はカテゴリによっても異なりますが、ものによっては数十倍以上にあたります」。
■初年度で1000万ケース達成も、スポドリ枠にこだわらず…次に発売したのは“麦茶”
2012年に発売された『GREEN DA・KA・RA』は、初年度から1000万ケース、2年目で1700万ケースと当初の計画を大幅に上回る販売数を記録した。そうなると「次はレモン味を出す」など、同じ”スポドリ枠”で新商品を発売するのが通常の考えだろう。しかし『GREEN DA・KA・RA』は、次なる新商品として2013年に「やさしい麦茶」を発売する。「『GREEN DA・KA・RA』がスポドリ枠にこだわっていたら、おそらく麦茶の発想は出てこなかった」という井島さんだが、このタイミングで麦茶を選択した理由とは?
「当時の開発者がターゲットの方々に家庭訪問させていただいたところ、冷蔵庫にご家庭で作られた麦茶を入れていた方が多かったんです。なぜ麦茶なのかと聞いたら『子どもから大人まで誰でも飲めて、一番すっきりしている』と。またこうした麦茶は煮出しと水出しが半々くらいで、思ったよりも水出しで作っている方が多かったんです。聞くと『昔は煮出しで作っていたが、共働きで時間もなく、水出しの方が楽だから』『煮出した麦茶は香ばしさがあるが、水出しの方がすっきりしてごくごく飲める』とのお声がありました。当時は水出しタイプのペットボトルの麦茶がなかったこと、かつ当時のサントリーは麦茶の強いブランドを持っていなかったことから、『GREEN DA・KA・RA』から麦茶を出すのはアリではないかという話になりました」
現在『GREEN DA・KA・RA』ブランドは、年間約5000万ケースを販売しているが、その約6割が麦茶と、同ブランドの中で大きな地位を占めている。麦茶カテゴリで言うと、元々強かった伊藤園と2強の様相を呈している。
「生活者の皆さんが実際に求めているものは何なのか。冷蔵庫の中を見せていただくなど、その行動や考えを入念にリサーチしたことで、商品ターゲット、コンセプト、コミュニケーションなど一気通貫で進めることができ、多くの方々に共感していただけました。それが今につながっていると思います」
■“やさしい”=「子ども向け」「味が薄い」ではない、“すべての人”に向けた飲料を届ける難しさ
以降、『GREEN DA・KA・RA』では「すっきりしたトマト」「塩ライチ&ヨーグルト味」など様々な商品を経て、2023年に『やさしいルイボス』が発売された。「コロナ禍の2020~2021年頃、より身体に負担がなく、香りでリフレッシュできるお茶が伸びていると感じました。特にルイボスティーは、近年茶葉の輸入量が非常に伸びていて、ご家庭での飲用機会の増加に加え、お店でもルイボス茶葉を使ったドリンクメニューが増えていました」ということからルイボスティーに着目したという。
ルイボスティーは香りが華やかで特徴的だが、逆に『クセがあって飲みにくい』というイメージを抱く人も少なくない。開発においては、ルイボスの元々の良さを残しつつ、飲みやすさを追求したという。
「『GREEN DA・KA・RA』ブランドは『飲みづらいイメージのものでも、すっきり飲みやすい』と期待していただけている部分もありますので、このブランドイメージをうまく使えないかということで、ルイボスティーを検討しました。実際発売されてから、『GREEN DA・KA・RAなら飲みやすいだろうと思って買ったら、本当に飲みやすかった』というお声をいただいて、ちゃんと届くんだなと胸をなでおろしました」
かつてスポドリの次に麦茶を出したことは、「今振り返ると、良い流れができたんだろうと思います」という井島さん。「もちろん節操なく、どこのカテゴリでも行こうとは考えていません。ただ我々が大事にしている”やさしい日常水分補給”を基点にした上でカテゴリをまたいでいくことで、多様な日常水分補給のニーズに応えられたと思いますし、ブランドの拡大の礎ができたのかなと思っています」
かつて『GREEN DA・KA・RA』ブランドは、「グリーンダカラちゃん」という一般の女の子をCMに起用していたことで、「子どもにも安心して飲ませられる」というイメージを醸成できた一方、「子ども向けではないか」「味が薄いのではないか」とのイメージを持たれることもあった。そこで3年前、ブランド誕生10周年を機に、CMキャラクターを草なぎ剛さんの「やさしいマン」に切り替え、コミュニケーションを一新。「味が薄いのではなく、すっきり飲みやすい」というイメージ醸成を図った。
「お陰で『子ども向けだと思っていたけど、自分でも飲めると思いました』と素直に受け取っていただき、幅広い世代の方にご支持いただけました。一昔前の『子ども向け』『薄い』というイメージを覆していなかったら、今の成功はなかったと思っています」
■今年4月に「やさしいコーン茶」登場 SNSでは「待ってました」と期待の声
近年健康意識の高まりから、ノンカフェインのお茶の市場が伸びている。だが、ノンカフェインのお茶と言えば麦茶とブレンド茶、ルイボスティーぐらいで『選択肢が少ない』『ちょっと飽きる』という声もあった。そんな背景から、今年4月に「やさしいコーン茶」が登場することに。
「昨今の韓国ブームの流れの中、韓国系の飲食店さんでは普通にコーン茶が出ていました。また『お店でコーン茶を飲んで美味しかったけど、家で飲めるペットボトルがない』というお声を聞いて、チャンスがあるなと。ノンカフェインで、素材のトウモロコシ自体、非常に馴染みがあることから、新しい層にご支持いただけるのではと考えました。全世代でいうと、コーン茶の認知度はまだ4割にも満たないんです。ノンカフェインは選択肢が少ないと言われているけど、“こんなにおいしくやさしいコーン茶がありますよ”とご提案すれば、生活者の皆さんに喜んでいただけるのではないかと思い、発売に至りました」
コーン茶が発表された時、SNSでは「GREEN DA・KA・RA、そうきたか」「コーン茶、待ってました」と期待の声が多く寄せられた。それに対して「『やさしいとは、飲みやすく、身体にもやさしいこと』という我々のメッセージが浸透したからこそ、『待ってました』とのお声をいただくことができました」と喜ぶ井島さん。今後、『GREEN DA・KA・RA』ブランドとして、どんな展開を考えているのか?
「『GREEN DA・KA・RA』ブランドのコンセプトは、”心とカラダにやさしい日常水分補給飲料”です。日本は年々熱中症が社会課題化していますが、そういう課題に対して、『GREEN DA・KA・RA』はこまめな水分補給を啓蒙していくべきブランドだと思っています。今後も、多様なニーズ、社会の変化などに寄り添いながらブランド活動すると同時に、コーン茶のように、チャンスのある新しい領域にも取り組んでいきたいと思います」
PROFILE/井島隆信
サントリー食品インターナショナル ブランドマーケティング本部 課長
2001年にサントリー入社。焼酎、缶チューハイなどの商品担当を歴任し、2022年より現職。『GREEN DA・KA・RA』のブランド・商品戦略など、マーケティングを手がける。
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