石綿じん肺、厚労省が救済範囲を見直し 被害者側「不十分」
兵庫県内の工場でアスベスト(石綿)を吸ってじん肺を発症した男性の遺族が国に約600万円の賠償を求めた訴訟で、国は2日、国の賠償責任を認めた大阪高裁判決を受け入れ、じん肺被害者の救済範囲を狭めた運用を見直したと明らかにした。厚生労働省は「慎重に検討を重ねた結果」と説明しているが、見直しは一部にとどまっており、被害者側から「対応が不十分」との指摘が出ている。
訴訟では、20年で損害賠償権が消滅する除斥期間の起算点が争点となった。国側は2019年に、起算点を「行政が石綿の健康被害を認定した時」から「石綿による健康被害の発症日」に早める基準変更をしたと説明。この結果、原告の遺族側の請求権は消滅したと主張していた。
4月17日の大阪高裁判決は、じん肺が特異な疾患で、進行の程度や速度が多様である特徴を踏まえれば、起算点を早める基準変更は認められないと判断。遺族側には請求権があるとして国に請求額全額の支払いを命じていた。国側は1日の期限までに上告せず、国敗訴が確定した。
厚労省は2日、石綿でじん肺を発症した被害者については、起算点を「行政の健康被害認定時」に戻し、起算点から20年以内に提訴すれば和解に応じる方針を示した。取材に対し、「判決で、じん肺の特殊性に言及があったことを踏まえた」と説明した。
しかし、被害者側からは国の対応に批判の声が上がる。国は19年の見直しで、じん肺をはじめとする石綿関連の5疾患について除斥期間の起算点を「発症日」に早めた。大阪高裁判決を受けた起算点の是正は、じん肺に限られており、他の4疾患は救済範囲が狭められたままになっている。
大阪アスベスト弁護団の奥村昌裕弁護士は「(上告断念は)当然。国の基準変更によって救済から漏れた被害者がいるかを調査し、救済していくべきだ。じん肺のみならず他の石綿関連疾患についても、早急に元の基準に戻すべきだ」と指摘した。【岩崎歩】
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